研究課題/領域番号 |
18K10116
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
澤田 典絵 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 室長 (00446551)
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研究分担者 |
頼藤 貴志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00452566)
中谷 友樹 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (20298722)
鹿嶋 小緒里 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (30581699)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大気汚染 / 地表熱 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
本研究では、地理情報システム(Geographic Information System:GIS)を用いて、多目的コホート研究(JPHC)対象者に大気汚染、地表熱の曝露を割り当て、その複合曝露と健康影響を大規模コホート研究で明らかにすることが目的である。今年度は、JPHC研究の約9万人に割り当てた、1998年から2013年のPM2.5とNO2濃度(Atomospheric Compostion Analysis Group)と2006年までの死亡との解析について、地域により濃度差が大きいことが継続の問題であり、各地域ごとのリスク算出、および、マルチレベル分析を行い検討中である。地表熱については、JPHC対象者住所のジオコーディングの位置精度が高く比較的都市部である吹田市を対象にLandsat8の熱近赤外センサ画像によって地表面熱分布のデータを作成した。なお、当該センサの地上分解能は100mだが30m四方のラスタデータとしてGISデータを整備した。2013年から2019年にかけて、吹田市を含み雲量の少ない画像として、USGS(米国地質調査所)のサイトより春季(3-5月)8枚、夏季(6-8月)2枚、秋季(9-11月)4枚、冬季(12-2月)4枚の画像を取得し、それぞれの地表面熱分布およびその季節別平均値を求めた。衛星画像による地上分解能は高いものの、限られた観測日の情報であり、また作業コストも大きいことが欠点である。そこで長期的な熱暴露との関係を日本全体でみるために、日最高気温・平均気温・最低気温に関する基準メッシュ(おおよそ1平方km)別の数値もJPHCのデータと結合する予定である。今後、大気汚染・地表熱データを用いて、JPHC研究において、がん・循環器 疾患・死亡との解析を実施し、特に吹田地域においては、大気汚染と地表熱の複合作用と健康との関連を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大気汚染の各地域の濃度差が大きい一方で、各地域内での大気汚染濃度の分散が小さく、解析法の検討を重ねている。地表熱については、割り当ては順調に行われているが、衛星画像による地上分解能は高いものの、限られた観測日の情報であり、また作業コストも大きいことが欠点であり、時間を要している。引き続き解析検討を継続し、今年度は、健康への影響の解析について、論文化を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
JPHC研究において、1990年に開始され、20年以上の追跡が行われ、現在までに、2万人のがん罹患、7千人の循環器疾患罹患、1200人の自己申告糖尿病罹患、2.7万人の 死亡データが蓄積されているため、大気汚染と健康との解析を継続し、論文化を行う。地表熱の割り当てを継続し、吹田地域において、大気汚染と地表熱の複合曝露と健康との影響を明らかにするための解析・論文化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
地表熱・黄砂データを割り当てる人がみつからず、人件費が使用できなかったため。R2年度は、地表熱・黄砂データの割り当てを継続・加速化しデータの固定をめざし、国際学会に参加し、国際学会に参加し、国際情勢を把握し、本研究を推進する。
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