研究課題/領域番号 |
18K10125
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
片田 竜一 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (00423757)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アルコール / 脳浮腫 / アクアポリン4 / 脳梗塞 |
研究実績の概要 |
本年度は、中大脳動脈閉塞後再灌流(脳梗塞)モデルラット、及び初代培養ラットアストロサイト等を使用して、酸素グルコース欠乏(OGD)環境におけるアクアポリン4発現に及ぼす炎症の関与を検討した。脳梗塞モデルラットでは、動脈閉塞90分後に再灌流させると、経時的にアクアポリン4の発現が増大した。脳浮腫の程度も同様の結果であった。脳梗塞巣に集積することが知られている常在性のマイクログリア由来マクロファージ及び骨髄由来の浸潤性マクロファージの関与を検討するため、種々の炎症性サイトカインを測定した。その結果、アストロサイト活性化因子であるIL1α、Inf、C1qaが脳梗塞後に増大した。また、免疫染色を行い、脳梗塞巣に集積する細胞を検討したところ、梗塞巣にはTNF+/IL1α+/Iba1+細胞と、TNF―/IL1α―/Iba1+細胞の2種類の細胞が認められ、それぞれ常在性マイクログリア由来マクロファージと骨髄由来の浸潤性マクロファージであると考えられた。 培養アストロサイトに対し、IL1α及びTNFを添加するとアクアポリン4が増大し、それぞれのアンタゴニストを添加すると抑制が認められた。また、培養アストロサイトと梗塞巣から分離したマクロファージを共培養すると、アクアポリン4発現が増大し、その変化はIL1受容体アンタゴニスト、TNFアンタゴニスト投与により抑制された。 以上の結果から、脳梗塞巣に集積するマクロファージのIL1α等の炎症性サイトカイン産生により、アストロサイトに発現するアクアポリン4の増大から浮腫が悪化する機序が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に問題は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
脳梗塞によりアクアポリン4増大から脳浮腫が悪化する機序に、脳梗塞巣に集積するマクロファージとそこから産生される炎症性サイトカインの関与が明らかとなった。来年度はそれらの機序にアルコールがどのように関与するのか、その解明を目指す。国際学会での発表はもちろんのこと、論文発表も積極的に行っていく予定である。
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