われわれは今まで初代培養肝細胞を用いてのアルコールによる細胞内情報伝達系の変化を検討して来た。その中でアルコール脱水素酵素ADHで消費する補酵素NADに依存性の脱アセチル化を行うsirtuinは影響を受ける可能性が指摘されており、それに伴う脂質代謝制御の異常や概日リズムへの影響も指摘されている。これらの検討するうえで、今までの初代培養肝細胞では軽微な変化はあるものの明確な変化までは確認できず、より生体に近い状態で細胞を培養する必要があり、まずコラーゲンサンドイッチ法による培養方法の検討を行った。細胞自体は、従来のコラーゲンプレートによる細胞培養と比較すると細胞間の接着が良く、従来のコラーゲンプレートに比較して1週間程度経過しても形態的な観察では細胞の状況は良く、1週間程度の長期の培養にも耐えうると判断した。しかしながら、実際に検討をしたところコラーゲンゲルの量が培地液量に対して多く、アルコールを含めた様々な添加実験を実施する上で、最終的な負荷濃度を適切に設定することが難しいことが判明した。また概日リズムを検討するために直ちに細胞を採取する必要があるが、コラーゲンゲルからの細胞採取に1時間程度の時間を要するため、コラーゲンサンドイッチ法での実施を断念し通常の手法での培養に変更した。培養で50%馬血清含有培地、高濃度インスリン培地、高濃度デキサメタゾン培地を用いて、概日リズムを同調を試みた。今後、mRNAの解析を継続する予定である。
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