研究課題
重篤な肺炎等の高度の炎症が体内時計に及ぼす影響を解析し、その分子機構を明らかにして、体内時計に基づく死亡時刻推定をより精度の高いものする事が本研究課題の目的である。そこで、30年度は盲腸結紮・穿刺法(CLP)をマウスに施行し、腹膜炎を誘起して、心臓と腎臓の時計遺伝発現に及ぼす影響を解析した。CLP施行24時間後の心臓と腎臓の時計遺伝子発現はシャムマウスにおける時計遺伝子の遺伝子発現パターンとは著しく異なることを見出した。更に、CLP施行24時間後にSirtuin1の遺伝子およびタンパクの発現が有意に上昇することを確認した。令和1年度はCLPにより誘起される時計遺伝子発現の変化の分子機構明らかすることを目指して研究を行い、CLP処置マウスとシャムマウスの心臓および腎臓のタンパク抽出試料におけるBmal1およびPeriod2のアセチル化レベルの変化をacetyl-Bmal1およびperiod2とacetyl lysinに対する抗体の組み合わせを用いて定量解析を行った。また、Sirtuin1とBmal1あるいはPeriod2のインタラクションを解析するための抗Sirtuin1抗体、抗Bmal1抗体あるいは抗Period2抗体を用いた免疫沈降を行った。しかし、現在のところBmal1およびPeriod2のアセチル化レベルの変化およびSirtuin1とBmal1あるいはPeriod2の相互作用を示す強固な証拠を得るに至っていない。現在、脱アセチル化阻害剤等を用いる条件をさらに詰めて検討している。
3: やや遅れている
Bmal1とPer2のアセチル化の定量解析およびSirtuin1とBmal1あるいはSirtuin1とPer2の相互作用を解析するための免疫沈降に成功していない。試料調整時の脱アセチル化阻害剤の用法が至適化されていないためと考えられる。
Bmal1とPer2のアセチル化の定量解析およびSirtuin1とBmal1あるいはSirtuin1とPer2の相互作用を解析するための免疫沈降に用いる試料の調製時に用いる脱アセチル化阻害剤の用法を更に検討、至適化することで研究の進展が望めるものと考えている。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Front Immunol
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