法医学で扱う試料は様々な環境要因によりDNAが変性して採取量も少ないため、STR解析による個人識別が困難になることが多い。従って、変性した微量DNA試料を用いた時のSTR解析の成功率を高める方法について検討することは大変重要な課題である。全ゲノム増幅法の1つであるmIPEP法が変性DNAを用いた STR解析に対して有効かを検討した結果、DNAが5ngあれば変性度0.2未満で、また、濾紙から抽出されたDNAが0.05ng場合は変性度0.7以上で、スライドガラス上の唾液痕から抽出されたDNAの場合は変性度0.4以上で、mIPEP処理を行うことでSTR解析が改善されることが示唆された。
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