研究課題/領域番号 |
18K10139
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐々木 真紀子 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (40289765)
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研究分担者 |
石井 範子 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (10222944)
長谷部 真木子 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (60241676)
工藤 由紀子 秋田大学, 医学系研究科, 講師 (20323157)
杉山 令子 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (80312718)
菊地 由紀子 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (40331285)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 職業性アレルギー / 看護職 / 健康管理 |
研究実績の概要 |
現状把握のために調査1として、看護管理者を対象に職業性アレルギーの認知や組織の健康管理の実態を調査した。対象は400床以上で精神・結核の専門病院を除く647病院の看護管理者各1名であった。回答数99名(有効回答率15.3%)であった。定期健康診断にアレルギー疾患の既往や治療歴の質問があるのは62.6%、その内58%はアレルギー症状のフォローアップ体制があった。作業環境管理を行っているのは約90%、アレルギーの発症や予防に関する教育を行っているのは32.3%、作業管理を行っているのは54.5%であった。今後の健診時の既往歴・治療歴を把握する必要性については86.9%が思うと回答した。職業性アレルギーについては詳しく知らないが57.6%、受講経験がないは64.6%であり、ガイドライン・指針は82.8%が必要と回答した。調査2として、看護師を対象に職業性アレルギーの認識や発生状況、リスク要因等を検討するため調査を行った。対象は上記の647病院で看護師の調査に同意の得られた85病院に勤務している430名であった。回答数227名(有効回答率64%)であった。平均年齢は39.2歳、臨床経験年数は16.9歳であった。健診でアレルギーの既往や症状の確認があるのは41%で、その90%は症状管理が個人に委ねられていた。アレルギー症状があるものは62.8%で、その内病院に勤務してから症状が強くなったものは49.4%であった。看護職になってから発生した疾患では蕁麻疹49%、接触性皮膚炎48%であった。職業性アレルギーについては詳しく知らないが56%で最も多く、講義や研修の受講経験がないものは79%であった。以上のことから看護管理者と看護職の職業性アレルギーの認知は十分とはいえず、組織の取り組みも十分ではないことから、職業性アレルギーについての予防や教育、管理に役立つ指針の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H30年度の計画は、研究倫理審査の受審を得てから、調査施設への調査依頼、その後調査の協力が得られた病院の看護管理者への調査、同病院の看護職への調査をそれぞれ行うことであった。調査は順調に実施でき、現在それぞれの調査結果のまとめがほぼ終了していることから、計画通りの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
R元年の研究計画はH30年度の調査結果をもとに、一次予防の観点から病院の看護職の健康管理における課題を抽出すること、および一次予防の健康管理指針の原案を作成することである。原案作成に当たっては、アレルギー疾患を専門とする医師にもアドバイスを得る予定である。また原案作成後は、H30年度に調査協力の承諾を得ている病院の看護管理者に内容の妥当性について調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ガイドラインまたは指針の作成のための基礎情報収集やアレルギー疾患の専門家への情報収集のために旅費として計画していた共同研究者の一部の金額が繰り越しになった。今年度は残額を加えて、H30年度の調査結果を関連する学術集会で公表し意見交換を行うこと、ガイドラインまたは指針の作成のためにアレルギー疾患専門の医師の助言を得るための旅費に使用する予定である。
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