手浴の効果を明らかにするため,自律神経活動を人為的に操作し,手浴の自律神経系および前頭葉機能への効果を検討した. 手浴実験では両手を39℃の湯に浸ける手浴を3分間行った.手浴中に暗算を負荷した結果,対照実験に比べてLF/HF(交感神経活動)の増加は有意に抑制されていた.また,前頭前野の活動は,手浴実験で有意に上昇しており,暗算の正答率は対照実験よりも手浴実験で有意に高かった.副交感神経活動を賦活する課題として,閉眼を行った結果,閉眼中のLF/HFは対照実験に比べて手浴実験で有意に高かった. 以上の結果から,手浴は自律神経系のバランス調節作用があり,かつ前頭葉機能を向上させる可能性が示唆された.
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