研究課題/領域番号 |
18K10145
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
岩佐 幸恵 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (60432746)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | パワーポーズ / 呼吸法 / リラクセーション技法 / 自律神経 / クロスオーバー試験 |
研究実績の概要 |
心身がリラックスすると呼吸が穏やかになり,心拍,血圧,及び酸素消費量が低下する。これをリラクセーション反応と呼び,この反応を意識的に引き出す方法がリラクセーション技法である。リラクセーション技法のなかでも,呼吸法は比較的習得が容易で,短時間で効果を得ることができるため,臨床場面でも活用されている。一方,新たなリラクセーション技法であるパワーポージングが,緊張をとく方法として注目されはじめているが,臨床応用するまでには至っていない。がん治療中の不安や抑うつの改善,検査や手術前の不安や緊張の緩和など,看護の領域でも活用されることが期待されるが,臨床に応用するには,まだ十分なエビデンスが確立されていない。本研究の目的は,パワーポージングを臨床で用いられている呼吸法と比較することによって,そのリラクセーション効果や安全性を検証することである。 本年度実施した本実験では,呼吸法は従来の研究結果と同様に自律神経活動全体が活性化され,主観的評価においては負の感情を改善する効果が示された。power posingは副交感神経活性のみが高まり,主観的評価においては負の感情を改善する効果があることが示された。呼吸法とpower posingはどちらもリラクセーション効果があると明らかになったが,交感神経の活性を高めるのは呼吸法のみであり交感神経への影響に大きな違いがあることが明らかになった。本研究によってパワーポージングは交感神経を鎮静化に有効であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は本実験を行い,パワーポージングは呼吸法と違い,交感神経活動を鎮静化させることを確かめた。パワーポージングが臨床において,安全なリラクゼーション技法となるエビデンスを得ることができ,その成果を日本看護研究学会中国・四国地方会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,被検者数を増やしてデータを取り足し,実験結果をより強固なものとする。また,標準から逸脱した事例について,その原因を検討する。合わせて論文執筆に取り組み,国際的な学術雑誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学術集会がWeb開催となったことなどにより旅費が発生しなかったことや,論文執筆がまだで翻訳・校閲費や投稿料を使用しなかったことによる。次年度は論文執筆に努め,国際誌への掲載を目指す。
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