研究課題/領域番号 |
18K10148
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
定廣 和香子 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (60299899)
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研究分担者 |
舟島 なをみ 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (00229098)
山澄 直美 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (50404918)
中山 登志子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (60415560)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | FD(ファカルティ・ディベロップメント) / 看護学教育 / 研修過程評価スケール |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、看護学教員を対象としたFD(ファカルティ・ディベロップメント)研修の過程を評価する『FD研修過程評価スケール』を開発し、研修担当者による測定結果を用いた研修過程改善の程度を分析することを通し、その有効性を検証することである。 2018年度は、第1段階に該当し、FD研修に参加する看護学教員が研修の過程(担当者と参加者の相互行為)を評価する基準を質的帰納的に明らかにするための文献検討を実施し、研究計画を焦点化した。また、この過程を通して、我が国(大学教育審議会、中央教育審議会答申等)のFD制度の変遷を整理し、以下を明らかとした。 平成3年、大学教育審議会答申が、教員の教授内容・方法の改善・向上への取組み(FD)の積極的な推進について触れたことを契機として、教員の教授内容・方法の改善・向上への取組みを我が国でも本格的に導入していく必要性が指摘され続けた。その結果、FDは、平成11年に大学設置基準において努力義務化され、平成19年に大学院設置基準、平成20年には大学設置基準の中で義務化された。 しかし、平成20年度の中央教育審議会答申は、全国の大学のFD実施率が極めて高い一方、その内容は形骸化し、教育の質向上に直結していない現状を指摘した。また、制度化されたFDの実質化が課題であり、教員の自主的・自律的な取組が不可欠であることも指摘した。さらに、その後の答申も、プログラムとしての学士課程教育の充実に向け、FDの実質化、高度化の必要性を指摘し続けている。 以上は、プログラムとしての学士課程教育の充実に向け、分野別FDの推進およびその実質化、高度化が急務であり、分野別FDの企画、運営に携わる教員を支援する研究成果が必要であることを示す。また、大学におけるFD活動は多様化しており、研究に先立ち、研究対象となる看護学教員、FD研修の条件や特徴を明確にする必要性が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我が国の大学教育改革におけるFDの位置づけを確認した結果、FDの方法や体制が多様化しており、その対象にも、専任教員にかぎらず職員も含まれる可能性があること、大学の規模や組織体制によって、FDの企画立案者も様々であることなどが明らかになった。研究計画を洗練させる際に特にこれらの現状をもとに焦点を明らかにする必要性が確認できた。この点が、整理されることにより確実な成果が得られるため、概ね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
米国、イギリス他諸外国における大学教員の質保証制度、用語等を整理するとともに、看護学教育における国内外の研究動向を確認する。そのうえで、FD研修を評価する視点の解明に向けた質問紙調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、主として文献検討および研究打ち合わせを実施し、我が国におけるFDの現状把握と、研究対象の焦点化を優先し、質問紙調査を2019年度とした。当初予定していた研究費の一部を2019年度に繰り越し、全国の看護系大学教員を対象とした質問紙調査を実施する。
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