研究課題/領域番号 |
18K10150
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
木下 美佐子 福島県立医科大学, 基礎看護学部門, 准教授 (50791919)
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研究分担者 |
堀内 輝子 福島県立医科大学, 看護学部, 講師 (00534083)
阿部 夏樹 福島県立医科大学, 看護学部, 助教 (00817497) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ノンテクニカルスキル / 医療安全 / 転倒転落予防 / 医療安全管理者 / 医療従事者 / 多職種共同 / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度の結果を元に現場の状況に詳しい医療安全管理者の意見を反映した「転倒転落予防に向けた医療従事者の教育プログラム」を作成する予定とした。しかし、コロナ禍にあって、協力者全員が集う場所と時間が取れない状況となった。そこで、リモートを利用した会議を開催し、転倒転落予防に関する施設ごとの現状把握と施設ごと看護師の行動の特徴について追加の分析を行った。 施設ごとの特徴や現状を医療安全管理者から医療安全管理の組織や転倒転落予防策と活動等について聴取した。その結果組織に大黄な違いはなく、転倒転落予防に関する活動は、インシデント事例発症のカンファレンス開催方法を規定している施設、インシデント発症後の事例分析に細かく対応している施設、予防策としての病棟ラウンドを医療従事者が意図して行っている施設、各病棟間で情報共有方法を規定しているなど施設ごとの対応が理解できた。どの施設も主に看護師を中心とした働きかけとなっていた。さらに全施設ごとの看護師が「よくできている」と回答した割合が50%以上に達していた認識と行動の割合をみると認識では23項目中16項目、行動では35項目中2項目となっていた。認識面で一番低かった(35.2%)項目は「患者の欲求を予測し、先回りする援助が必要である」であった。次に低かった(41%)の項目は「ナースコールは、全ての欲求を伝える手段になっていないことをしている」であった。行動面で4施設共に「よくできている」と回答した割合が一番高い(56.9%)項目は、「個人で指摘されたことは、素直に受け止める」であった。一番低かった項目(13.2%)は「他の医療従事者の行動に潜んでいる行動に潜んでいるリスクに対し、指導している」であった。これらのことから、認識面での看護師の各得点数は高く維持されていたが、ノンテクニカルスキルとしての行動へ教育プログラムの必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、研究最終年度となることから「転倒転落予防に向けた医療従事者の教育プログラム」の作成とプログラムに応じた実施と評価を行う予定であった。しかし、本年度に入り研究協力者と共に作成に向けた会議実施機会が得られず、リモートを用いた会議の実施を2回実施にとどまった。リモート開催についても日程がなかなか合わないという状況があった。さらに計画にはなかったが、教育内容の検討に必要と考え昨年度の調査結果の分析の追加を行い、看護師の全施設、4施設ごとの認識と行動の「よくできている」得点について、項目ごとに分析することとした。このことにより、詳細なノンテクニカルスキルに関する取得状況が把握できたと考える。さらに、現在の医療安全管理者の「転倒転落予防策の実施状況等」について、意見聴取を行い、施設の特徴を「転倒転落予防に向けた医療従事者の教育プログラム」にどのように加味するべきか、多職種共同への教育内容について検討した。 今年度で実施終了予定であったが、主任研究者の家族の介護等が生じたことに加え、コロナ禍にあった年であったことから予定通りの進捗とならず来年度も研究を延長し取り組むこととした。
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今後の研究の推進方策 |
各病院で調査した「医療従事者の転倒転落予防に関するノンテクニカルスキル」調査結果から、転倒転落予防に向けた教育プログラムの構築を各研究協力施設の医療安全管理者と共に行う予定である。その後、考えられた教育プログラムを代表施設において、医療安全管理者が中心となって研修として実施する。実施したプログラムの実施記録を研究分担者、研究協力者とともに解析する。また、病院の転倒転落発生率の推移を同時に検証し、転倒転落予防に対応した教育プログラムが提示できるようにすることを目指したが、医療安全管理者と共同した会議の実施ができず、さらに集合による研修会等の実施もコロナ禍にあって難しいとのことから、本年度は教育プログラム内容充実をめざし、調査結果の追加分析を行うことと、医療安全管理者の活動現状調査を行った。 来年度は、研究延長の最終年度になることと、コロナ感染状況の先がみえないことから、「転倒転落予防に向けた医療従事者の教育プログラム」これまでの調査分析結果を含め研究協力施設と共に作成し、作成した教育プログラム資料を各施設に配布し活用が図れるようにしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、本年度の残額となる「556,272円」と考えている。次年度は、研究延長期間となるため、最終「転倒転落防止に向けた教育プログラム」の作成と作成に至った経緯を研究成果として各施設約100か所以上に配布できるような、配布資料を作成する。
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