研究課題/領域番号 |
18K10152
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
塚越 みどり 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (60405016)
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研究分担者 |
前川 二郎 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70244449)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 続発性上肢リンパ浮腫 / 弾性着衣 / リンパ管静脈吻合(LVA) / QOL / 乳がん術後 |
研究実績の概要 |
乳がん術後の続発性上肢リンパ浮腫で、保存療法とLymphatic Venous Anastomosis(LVA)を実施した患者の術前後の患側上肢の体積とBMI、術後の圧迫療法を調査した。【方法】対象は、2011-2016年にLVAを受け、定期受診する患者で調査への同意が得られた45症例とした。【結果】リンパシンチグラフィーによる重症度は、Maegawa分類においてType Ⅲ-Ⅴであり、LVA手術回数は平均1.7回、吻合数は平均4.2吻合であった。術前、術後1年における患側上肢の平均体積は減少したが、群間の有意差は認めなかった。術前、術後1年におけるBMIは、ほとんど変化はなく、群間の有意差を認めなかった。術後6ヶ月後のICG以後、日中にスリーブ、グローブの着用を中止した症例(中止群)は32名(71.1%)、継続する症例(継続群)は13名(28.9%)であり、中止例の割合が高く有意差を認めた。弾性着衣は圧迫圧15-25mmHgの丸編み、平編みが使用されていた。両群とも術前の浮腫で患側上肢は緊満していたが、LVA後は緊満が軽減し、やわらかさを自覚しており、蜂窩織炎の発症例はなかった。【考察】上肢は下肢よりも繊細な動きや水仕事などで弾性着衣を着脱する機会も多く、我が国のような高温多湿な気候条件では皮膚トラブルが発生する患者も多い。LVA後、日中の圧迫療法を中止できることで、患者の生活動作やストレスが改善することが示唆された。今後は、圧迫療法中止後のセルフケア指導、術前後におけるQOLの定量評価を行う必要がある。圧迫療法を継続する症例では、重症度と生活背景をふまえた弾性着衣の選択、着圧による定量評価、乳がん治療が圧迫療法へどのような影響を与えているかについての検討が必要と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究予定内容で順調に伸展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、乳がん治療の内容がLVA後の圧迫療法に及ぼす影響や、続発性下肢リンパ浮腫における弾性着衣の効果を検証するため、圧迫圧と体積の変化について分析する予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、患者用リーフレットを作成する予定であったが、内容の更なる検討が必要となり次年度に印刷することとなった。
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