研究課題/領域番号 |
18K10152
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
塚越 みどり 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (60405016)
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研究分担者 |
前川 二郎 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70244449)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乳がん術後 / 続発性リンパ浮腫 / 着圧 / 弾性着衣 / 蜂窩織炎 |
研究実績の概要 |
本年度は、乳がん術後続発性上肢リンパ浮腫の保存療法において、圧迫療法の継続は浮腫の軽減、悪化防止に不可欠である。定期外来受診時の評価や指導の方向性を一症例の経験より検討し、学術集会にて発表した。 方法:乳がんにて乳房切除、腋窩リンパ郭清を施行。術後、放射線療法と化学療法を行った50歳代の女性患者を対象とした。術後2年で片側上肢の続発性リンパ浮腫を発症、ISL分類ではⅡ期後期であった。リンパシンチグラフィーによる重症度診断では、(Maegawa分類)はTypeⅣであった。患肢へリンパ管静脈吻合術(Lymphatic Venous Anastomosis)を1回実施したが、蜂窩織炎を繰り返し発症することから、今後の治療、看護の方向性を検討した。 結果:LVA後1年、上肢全体の体積に変化はみられなかった。定期外来受診において、蜂窩織炎の有無、上肢の周囲径計測、重症度に応じた弾性スリーブ、グローブのオーダーメード調整、ピコプレスによる前腕・上腕の着圧を測定した。30mmHg以上の強圧での圧迫は苦痛が強く、20mmHgが目標値で圧迫療法を継続した。 考察:LVA後、圧迫療法から離脱できる症例も多いが、離脱が難しい場合に圧迫の中断、蜂窩織炎の発症は浮腫を悪化させるため、蜂窩織炎の発症予防と適切な圧迫を継続することが重要である。外来で弾性スリーブの着圧を測定するようになり、看護側が経験値によらない弾性スリーブの選択が可能となった。患者側は、弾性着衣の更新時期や圧迫の必要性についても理解が得られ、着圧をもとに納得して圧迫療法を受け入れる姿勢も向上した。上肢は下肢に比べて日中の圧迫に対するストレスが大きく、高い圧での圧迫は難しい。弾性スリーブは長さの不足、圧迫を苦痛に感じることにより着用が難しくなるため、オーダーメードの調整と日中の圧迫に対する主観的評価は重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、発表予定であった国際学会、第10回International Lymphedema Framework Conference(Denmark)が中止となり、成果の公表、参加者との討論を行うことができなかった。また、新型コロナウイルスの感染拡大による外来での患者制限、立ち入り制限等に伴い、予定した着圧測定、評価、データ収集が困難であった。次年度は、発表予定の国際学会への参加、データ収集を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、国際学会への参加、追加データ収集を行い、本研究の最終年度として共同研究者とともに結果をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定であった国際学会が中止となったため
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