研究課題/領域番号 |
18K10163
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研究機関 | 兵庫大学 |
研究代表者 |
原田 広枝 兵庫大学, 看護学部, 教授 (60380383)
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研究分担者 |
長弘 千恵 兵庫大学, 看護学研究科, 教授 (00289498)
前田 和香子 国際医療福祉大学, 福岡看護学部, 講師 (90735226)
末永 陽子 福岡看護大学, 看護学部, 講師 (00715154)
坂 美奈子 佐賀大学, 医学部, 助教 (30768594)
南嶋 里佳 国際医療福祉大学, 福岡看護学部, 助教 (10783764) [辞退]
大植 崇 兵庫大学, 看護学部, 講師 (80607789)
大植 由佳 兵庫大学, 看護学部, 准教授 (10612450)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中途採用者 / 職場適応 / 転職 / 女性看護師 / 転職支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、女性看護師の転職による職場適応過程のプロセスと再適応の関連要因の解明であった。 昨年度実施した中途採用者、および中途採用者を受け入れた看護管理者を対象にした質的研究結果を分析し、日本看護科学学会学術集会に投稿、採択された。ポスター、および口頭でそれぞれ1編ずつ発表を行った。 ポスター発表のタイトルは、「看護管理者による中途採用看護師への職場移行支援のプロセス」で、以下のことが示唆された。①看護管理者は中途採用者の入職までの経験や入職後の成長支援によって、自部署の発展を描いていたことが示唆された。②看護管理者による中途採用者の職場移行支援は、中途採用者の学習ニーズや不安・期待の理解と、職場順応のサインを基にトランジションの段階を判断し、職場の状況と照合しながら職場になじむように柔軟に対応していた。③看護管理者は中途採用者が望む職場を目指した移行支援をPDCAによって推進していることが伺えた。④中途採用者への職場移行支援には、採用者の仕事上の経験や職業観・生活スタイル・学習ニーズの理解のもとに、根拠に基づいた人材育成方法の知見を活用して、移行の段階に応じた柔軟な成長支援が望まれた。 口頭発表のタイトルは、「20歳代女性看護師の転職による職場適応過程の解明」で、以下のことがわかった。転職者は、前職の経験より自分なりの仕事への定義を獲得していた。転職先では、もともと持っていた定義が新しい経験の遭遇により変化せざるを得ない状況となった。定義が変化する過程では,ネガティブな感情が出現するが、より良い職場環境と自らの経験や学習能力により乗り越えることで、新たな看護や仕事への価値を生み出し順応していた。 この2編の結果を基に、「転職した若手女性看護師の職場適応の過程と関連要因の解明」を目指して、質問紙を検討し、本学に調査研究を倫理申請して認可を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度は、転職を経験した女性看護師を対象に、「転職した若手女性看護師の職場適応の過程と関連要因の解明」を目指して、量的研究を計画していた。しかし、研究代表者の大学異動に伴い職場環境が変化したこと、異動場所が自宅から遠く生活環境の調整に手間取ったこと、研究組織の整備にてまどったこと、コロナ禍にともなう社会情勢の変化などから、調査研究の方法の獲得や、質問肢の作成に時間を要したからである。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、申請した調査を実施し、データ収集・データ分析によって研究目的の解明を目指している。 1)方法は無記名自記式質問紙調査(質問紙を用いた横断研究)、2)対象者は本研究に協力が得られる100床以上の病院の中から選定条件に即した若手女性看護師を1000名選択(回収率を40~50%と予測し質問紙を配布する人数を1000名とする)。選択基準は研究参加に同意が得られた100床以上の医療施設に勤務する女性看護師で、過去3年以内に転職を経験した経験年数10年以内の者である。除外基準は過去3年以内に転職を経験した看護師経験年数10年以内の看護管理者、認定看護師、専門看護師である。3)データ収集方法は、九州地区、近畿地区の100床以上の医療施設の看護部門責任者に研究依頼書、質問紙調査票、参加の有無と受け入れ可能調査対象者数を把握するための返信用はがきを送付する。研究対象者の選定は看護部門責任者に一任し、研究依頼書、質問紙調査票の配布を依頼する。予定していた対象者数が得られるまでリクルートを続ける。同意取得の具体的方法は、看護部門責任者は選択基準に合致した研究対象者を選定し、対象者に研究依頼書、質問紙調査票を配布する。研究への同意は質問紙調査へのWebへの回答、もしくは紙の質問紙調査票の記入と返送をもって同意とする。また、本研究は無記名の自記式質問紙調査であり、返信後の同意撤回は難しいことを説明する。4)データの分析は、統計学的分析方法を用いる。基礎分析としての記述統計量を算出し、さらに各種多変量解析手法を用い、多角的にデータ分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査研究を予定していたが、調査用紙の開発が遅れたこと、調査方法の検討に手間取ったこと、調査依頼先が多忙で依頼が難しかったことが主な理由である。 調査研究を次年度実施し、調査結果の収集、分析を行う予定である。調査研究の倫理申請は終了しており、現在印刷依頼中である。
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