研究課題/領域番号 |
18K10165
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
辻 由紀 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (10771678)
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研究分担者 |
山下 雅子 東京有明医療大学, 看護学部, 准教授 (20563513) [辞退]
前田 樹海 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (80291574)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 看護師 / 看護学生 / 観察 / 熟達化 / 知覚 |
研究実績の概要 |
看護学生から看護師までの看護実践における思考のプロセスの発達段階を検証することを目的として、2018年度に看護師の経験年数が20年以上の看護師に実験材料のヒントを得るためにヒアリングを実施した。2019年度は2018年度に実施したヒアリングの結果を参考にして、看護学生は知覚できないが看護師は知覚できる臨床場面を想定した静止画像を3種類作成した。静止画像の作成プロセスにおいては、ヒアリングを実施した経験年数20年以上を持つ看護師に作成した画像を閲覧してもらい、臨床症状が静止画像にリアルに再現できているのかの可否について評価を受けながら作成した。 本研究の仮説は看護学生から看護師に至る、観察から実践する看護を生み出す思考のプロセスには発達段階があるということである。当初の計画では調査対象者に作成した静止画像を観察してもらい、その観察結果を発話として収集することを予定していた。しかし、本仮説の思考のプロセスに該当する認知領域は発話によって測定することが可能ではあるが、認知活動の刺激になった観察を行動として測定することには限界があると判断した。したがって、当初のデータ収集方法に加えて観察を行動の指標として測定可能である眼球運動からも測定することにした。眼球運動の測定には、本研究の実験材料である静止画像の特性に対応したスクリーンベースのアイトラッカーを採用して測定することにした。データ収集方法の変更に伴い、発話と眼球運動から仮説を検証するための研究方法を再考し第2段階のパイロット調査に入る準備が完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
仮説を検証するためのデータ取集方法を変更したことに伴い、実験材料の作成や研究方法の再考に時間を要した。また、データを収集する時期については、本研究の被験者となる病院看護師、看護学生が比較的時間のとりやすい2月から3月にかけてを予定していた。しかし、2月以降、COVID-19の影響で、本研究のデータ収集方法を従来の研究者同室の環境下での実験から、被験者が1人で測定できる実験へと見直さざるを得なくなったため、実際のデータ収集は当初予定の2019年度から2020年度に先送りした。
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今後の研究の推進方策 |
再考した研究方法の適否を総合的に評価するために、パイロット調査から始め実験の段階に進む。調査段階においては、感染予防対策を踏まえた研究方法を実施することで調査対象者の安全が保証できるように遂行する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度はデータ収集方法の変更、また、COVID-19の影響により研究方法の見直しが必要になったため、データ収集は2020年度に先送りした。データ収集方法を変更したことに伴い、新たに収集することになった視線を測定するための機材であるアイトラッカーを購入した。そのため、今年度、謝金や旅費として計上していた資金を物品費に充当した。次年度はこのアイトラッカーを使用して実験を実施していく段階になる。今年度発生した次年度使用額や次年度の助成金については、調査対象者への謝金として、また、アイトラッカーを使用して研究を遂行することに伴い、ソフトの更新が必須になるため物品費として計上し運用していく計画である。
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