2023年度は、患者と協働的な関係を継続的に構築することが重要と考えられる慢性疾患患者のケアにおいて、看護師が患者との間にどの程度協働的な関わりを実践しているか、またその程度に関連する要因を明らかにすることを目的とした質問紙調査を実施した。全国の日本医療機能評価機構の病院機能評価の認定病院の中から、200床以上の一般病院200施設を無作為に抽出し、慢性疾患(糖尿病・慢性心疾患・慢性腎疾患・膠原病・リウマチ疾患)のケアに病棟または外来で従事する看護師を対象に調査を行い、403名から回答が得られた。70%以上の看護師が、医療者-患者間の関係について、治療やケアの方法は医療者ともに考え、意見を言い合って決めるべき、25%は、情報を得たうえで患者自身が決定するべきと回答した。協働的関係の構築は、重要であるものの時間が十分でないために難しいという認識が多かった。協働的な関わりの実践についてはおおむね高い認識であったが、患者とともに目標を立てる、患者の期待を聞くなどのことが相対的に低い傾向にあった。 また、所属施設において患者とのパートナーシップや協働を推進するための取り組みがあると回答したのは約30%であった。協働的関わりの実践と職場風土、患者支援についての学習機会との間に関連があり、組織として患者との関係構築に対し積極的な姿勢を持つことで、医療者-患者関係が変化する可能性があると考えられた。
|