研究課題/領域番号 |
18K10169
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
澁谷 恵子 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (50438074)
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研究分担者 |
太田 浩子 東京工科大学, 医療保健学部, 准教授 (30583934)
川村 晴美 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (60769868) [辞退]
安部 美恵子 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (60791738)
横井 美由貴 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (50810610)
小林 里佳 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (90736563)
飯塚 敏子 東京工科大学, 医療保健学部, 助手 (20827844)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 男子看護学生 / 看護技術 / 技術教育プログラム |
研究実績の概要 |
脳科学の発展に伴い男女の性差によって学習傾向に違いがあることが明らかとなってきている昨今、看護学生の技術学習修得過程も性差があることが推察できる。しかし、性差による技術習得過程の違いを明らかにした研究や男子看護学生の技術習得の特性を考慮した技術教育方法がない現状がある。本研究は男子看護学生(以下男子学生)と女子看護学生(以下女子学生)の認知領域、情意領域、精神運動領域の技術習得のプロセスの違いを明らかにし、男子学生の学びの様相に応じた看護技術教育プログラムを開発し、検証することである。研究課題は、1)男子学生の看護技術の学びの様相とその特徴を明らかにする、2)男子学生の看護技術の学びの特徴に合わせた看護技術の学習支援方法を構築する、3)構築した男子学生の看護技術教育プログラムを実施・評価し外部評価を受けることである。 今年度は、視線に注目して研究するときの注意点について学習会を開催し指導を受けた。視線追尾装置の性能の良いものを選択することがデータの精度を左右すること、医療系学科は男女の割合に差があるので性差に着目した研究は他の医療職の教育に示唆を与えるとの見解を得た。視線計測を用いた熟練者の特徴の抽出のための試みの研究からは、熟練者の視線は一度に継続して全体を面としてとらえる、非熟練者は視線の移動が激しく点としてとらえる、人間の認知プロセスを客観的に把握するのに視線計測が有効な手法であること等の知見を得、学生自身の視線のデータをフィードバックし問題発見を教育方法の有用性も再確認できた。性差による学習傾向の相違に着目した研究について1件確認でき、観察時の眼球運動特性や観察時間には物品の種類による差はないことが分かった。また、文献や視線計測カメラを使用したデータ収集方法の学習会を実施した。事前申請をした倫理審査指導内容を参考に、再検討し再度倫理審査を提出予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度は、2018年度研究計画の男子学生の看護技術の学びの様相とその特徴を1)文献検討・看護技術の構造化、2)行動分析とインターによる比較分析等の実施を行い、2019年度計画の学習目標の設定、教育プログラム草案作成とその実施・評価が目標であったが、1)文献検討・看護技術の構造化についてのみ進んだ状況である。今年度も研究メンバーの育児時間確保や学生数の増加、研究代表者の健康問題、新型コロナ感染症の蔓延に伴う教育活動業務の著しい変更及び増加が研究に及ぼす影響は、昨年度以上に大きく研究活動に影響を及ぼした。しかし、2019年度から研究メンバーに新たに参加した教員も1年が経過し、教育活動業務も円滑に対応できるようになってきたことから、研究計画未着手の活動に取り組める状況が改善されてきたので、研究計画の遅れを取り戻すべく精力的に研究活動を実施する予定である。研究実施において、新たに新型コロナ感染症感予防対策について考え研究を実施を行う。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は1. 基礎看護技術(日常生活技術・診療補助技術)構成要素から行動分析の視点を明確にする、2.女子学生と男子学生に調査の協力を依頼し、看護技術実践中のビデオと視点観測による行動分析と振り返りのインタビューによる比較分析を行う、3.男子学生が在学する他の教育機関に看護技術習得に関する聞き取り調査を実施し、分析結果から男子学生の日常生活援助技術と診療補助技術における学びの様相を明らかにする。 1~3の学びの分析結果看護技術教育プログラムを構築・実施、行動分析機器を用いた分析およびインタビューによる評価の実施のために、事前申請をした倫理審査の指導内容を参考に再検討し再度倫理審査を提出し、その後実施する。その評価結果を分析し、修正版看護技術教育プログラムを完成し、実施、評価する。その結果を学会等で発表し、外部評価を受ける。男子学生の看護技術教育プログラムの構築にあたり、Bloom,B.Sが提唱する、認知領域、情意領域、精神運動領域における学習目標を基に男子学生の学習の様相を分析し、プログラムを構築していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の影響から海外視察は断念したこと、教育活動業務増加に伴う影響による研究活動の進捗の遅れにより次年度使用額が生じた。2020年度は遠隔授業の実施に伴う教育活動業務は増大しているが、研究計画の遅れを取り戻すべく精力的に研究活動を実施する。そのための、研究データを分析するソフトや機器の購入、研究データ分析に関連した謝金、行動分析の関連研究成果の収集や聞き取りにおいての交通費や旅費などに使用する予定である。視線に着目した学習傾向の性差による相違に着目した研究を2019年度看護系学会において1件研究発表が確認できたので、2020年度も看護系学会に参加し関連研究の調査を行う。また、看護以外の医療系や他領域の視線に注目した研究や文献を調査し、研究結果の分析に役立てる予定である。
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