本研究の目的は、乳幼児を持つ女性看護師のアサーティブネス測定尺度の開発である。「乳幼児を持つ女性看護師がアサーティブになれない状況」を質的に明らかにすることを目的とした先行研究の成果を基に、素データの表現や他の既存研究を参考に各カテゴリーから1~2項目を選定し、アサーティブネス尺度の原案を作成し、その尺度の原案の妥当性と信頼性を検証した。 研究対象は、全国の300床以上の112の総合病院の看護部長から研究実施の了解の得られた25の病院で勤務する乳幼児を持つ女性看護師530人であった。研究方法は、自記式質問紙調査(郵送法)であり、質問内容は属性、作成したアサーティブネス尺度、基準関連妥当性分析のための日本版Rathus assertiveness schedule(以下、J-RAS)であった。 新型コロナウイルス感染拡大により、令和元年(2019年)の2月~3月に予定していた調査を令和2年(2020年)11月に延長した。調査の回収数は347人(65.5%)であった。基準関連妥当性を検証するために行なった再調査を約4週間後に実施し、297人から回収を得た。各項目の平均値と標準偏差を計算し、天井効果およびフロア効果のみられる項目がないことを確認した。また、相関分析により全体得点と項目得点の相関の低い(0.3未満)項目を確認した。 妥当性の検証として、探索的因子分析を行い、確証的因子分析として探索的因子分析で得られた結果に基づく仮説モデルにデータが合致するか検討するために共分散構造分析を行った。また、基準関連妥当性を検証するために、J-RASと今回作成したアサーティブネス尺度との相関係数を求めた。 現在は、最終報告書に向けて上記の解析結果を精査しているところである。
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