『女性による陸軍病院の看護 補助覚え書』、『病院覚え書』、『看護覚え書』を別々に論じるのではなく、連続性のある著作と捉え、クリミアでの経験がどのように反映され、そしてどのように形を変えて著作に組み込まれていったかを調査した。ナイチンゲールの書簡と併せて当時の新聞や医師やナースたちが残した文献を調べることで、背景となる病院や医療の状況を客観的に把握することが出来た。特に「システム」と「女性による看護」が鍵であることが明らかになった。クリミア戦争に赴くまでの彼女を取り巻いていた状況と戦争中の活動そして戦後の著作を辿ることでナイチンゲールの思考の影響とその変化とを著作に見ることが出来た。
|