研究課題/領域番号 |
18K10180
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研究機関 | 活水女子大学 |
研究代表者 |
幸 史子 活水女子大学, 看護学部, 教授 (60736130)
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研究分担者 |
藤本 学 立命館大学, 教育開発推進機構, 教授 (00461468)
河野 朋美 (野高朋美) 宮崎県立看護大学, 看護学部, 助教 (20736128) [辞退]
小山 記代子 第一薬科大学, 看護学部, 講師 (50632147)
島村 美香 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 助教 (80782713)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 看護実践知 / 熟練看護師 / 若手看護師 / 認識の差異 |
研究実績の概要 |
新型コロナ禍において、インタビュー調査等が実施不可能となった。そこで、インターネット調査に変更し調査を行った。 対象は、看護師で、熟練看護師が重視し、若手看護師が望む看護実践知を広く量的に収集するものである。 調査の結果、以下の様な結果を得ることができた。 【専門スキル】【認知スキル】【社会スキル】【持続可能スキル】が抽出された。【専門スキル】【認知スキル】をテクニカルスキル、【社会スキル】【持続可能スキル】をノンテクニカルスキルとした。【社会スキル】において大きな比重を占めていたのがコミュニケーションに関する実践知である。《情報伝達》や《受容的傾聴》などの《コミュニケーション力を磨く》とともに、適切な《クレーム対応》や《ハラスメント等への対処》を行い《トラブルを避ける》などの[コミュニケーション技術]を磨くことにより、[医療職対応]や[患者・家族対応]を円滑に行えなければならない。看護師として活躍し続けるためには、専門的なテクニカルスキルに加え、多様なノンテクニカルスキルを身に着けておかなければならないということが解った。これらにおいては、熟年看護師と若手看護師の認識に顕著な差が確認された。若手看護師も多数要望していたものの、熟年看護師はそれを有意に上回るほど[患者・家族対応]を重視し、長年の経験の中で培ってきた実践知を教え残すべきだと認識していた。また、熟練看護師はすべてのコミュニケーションの基盤となる[コミュニケーション技術]を重視する傾向が見られた。対して、多くの若手看護師は医師や後輩・部下など他の[医療職対応]に対して悩みを抱えていた。しかし、熟年看護師は誰一人教え残したい事項とは認識していなかった。 以上の結果を論文にして看護科学学会に投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍で、研究分担者とのミーティング等対面でできず、認識の違い等を修正することに時間がかかった。 また、今回の調査結果からカテゴリーに基づく半構造化インタビュー調査を臨床で働く看護師を対象に実施する予定であったが、医療機関への立ち入り等許可が得られず、次年度へ延期となった。
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今後の研究の推進方策 |
当初、看護師の実践能力の一つであるコミュニケーション能力について、新人看護師のコミュニケーション能力の向上を目指し、ベテラン看護師の実践テクニックを伝授することを考慮したプログラムを計画していた。今回のインターネット調査で、ベテラン看護師が重視していることと、若手看護師が望む看護実践知に差異があったことや、ベテラン看護師が自分たちが重視していることを誰一人教え残したいとは認識していなかったことが明らかとなった。よって、次年度は可能であれば、臨床看護師へのインタビュー調査を実施し、今回のインタビューで特定したカテゴリーに基づく半構造化インタビューを実施し、得られた知見の更なる掘り下げを行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度インタビュー調査予定であったが、新型コロナ禍で実施できず、旅費が未使用だったため。
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