本研究の課題は,「看護における『チームレジリエンス』の発揮過程-困難からの回復-」である.研究目的は,困難に陥った一般病棟看護チームのレジリエンス表出による回復のプロセスを記述することである.一般病棟に勤務する常勤看護師20名へのインタビューから,困難に陥った一般病棟看護チームのレジリエンス表出による回復のプロセスが導かれた.それは,【混迷】の中でチームが粘り強く耐えて【模索】し始めることで,看護師個々の相互関係を【醸成】し,さらにチームとして【強化】することで,安心空間の創出という【変容】に至るプロセスをたどったと解釈された.これら5局面において,【醸成】における〔対話の成立〕の有無がその後の【変容】にまでつながる契機となり,チームは相互作用を高めながらレジリエンスを表出して回復すると考察された. 最終年の2021年度は,研究成果を学術誌に投稿した.さらに,チームレジリエンス表出のプロセスをリーフレットにまとめ,病院の看護師が参加する教育・研修の場や看護学生の教育の場などで活用している. 本研究において,看護チームの相互作用および相互関係からチームのレジリエンス表出による回復のプロセスを明らかにした本成果は,ゆらぎを経験しているチームにとっては,チームがたどる再生の見透しを考え,チームとしての現在の局面を確認するための道標になると思われる.また,【変容】に至った看護チームには【混迷】の局面とは全く異なる新しい看護チームの姿が示されており,困難に陥った看護チームがレジリエンスを表出して回復するプロセスをたどることは,チームの成長に寄与するものと考えられた.
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