研究実績の概要 |
本研究の目的は,個人の内面的要因を加えた看護系大学教員の職業キャリア成熟尺度の開発を行うことである。第一段階として,当初は看護系大学教員の職業キャリア成熟の構造を半構造化面接を用いて質的に明らかにするとしていたが,計画を修正し,文献を用いた概念分析と先行研究で開発した「看護専門学校教員の職業キャリア成熟尺度」の内容を検討し,構造を明らかにすることとした。 看護系大学教員・キャリアに関する文献は少ないため,先ず隣接する看護職者のキャリアに関する文献を探究し,キャリアという概念の特徴を識別し定義した。概念分析の方法にはRodgersの概念分析アプローチ法を用い,最終的に分析対象となった文献は30文献,図書9冊であった.看護職におけるキャリアの属性として【特徴ある看護職の社会】,【職業生活における時間的流れ】,【職業生活における学びの深化と方向性】,【人と組織との相互作用】,【個別性のある選択】の5つのカテゴリが抽出された。先行要件として【個人の内的要件】,【個人の外的要件】,【組織側の受け入れ】の3つのカテゴリが抽出された。帰結として【人と組織・社会の相互作用】,【自己への恩恵】,【離職】,【深刻な危機的状態】の4つのカテゴリが抽出された。一方,先行研究で開発した「看護専門学校教員の職業キャリア成熟尺度」の下位概念として[職場での支え],[教員としての能力],[学生との相互作用],[能力開発のチャンス]があげられる。今後はこれらにキャリアに関する理論や,心理社会的な発達におけるエリクソンの理論等の視点を加えて,看護系大学教員の職業キャリア成熟の構造を検討し,第2段階である尺度原案の作成する予定である。
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