研究実績の概要 |
看護系大学が急増し、教員の質が問われている背景において、教員の職業キャリア成熟の検討が必要であると考えた。本研究の目的は、看護系大学教員個々の内面的要因を含めた職業キャリア成熟尺度の開発を行うことである。本研究により開発した看護系大学教員の職業キャリア成熟尺度を、自己評価ツールとして使用することにより、教員の能力開発に貢献することや、よりよい看護教育を行っていく示唆を得ることできると考える。 研究の第一段階として、看護系大学教員・キャリアに関する文献は少ないため、隣接する看護職者のキャリアに関する文献から概念分析を行った。看護職におけるキャリアの属性として【特徴ある看護職の社会】,【職業生活における時間的流れ】,【職業生活における学びの深化と方向性】,【人と組織との相互作用】,【個別性のある選択】の5つのカテゴリが抽出された。先行要件として【個人の内的要件】,【個人の外的要件】,【組織側の受け入れ】の3つのカテゴリが抽出された。帰結として【人と組織・社会の相互作用】,【自己への恩恵】,【離職】,【深刻な危機的状態】の4つのカテゴリが抽出された。 一方,先行研究で開発した「看護専門学校教員の職業キャリア成熟尺度」の下位概念として【職場での支え】,【教員としての能力】,【学生との相互作用】,【能力開発のチャンス】があげられている。 これらを再度検討し、第二段階として、現在は看護系大学教員の職業キャリア成熟尺度の原案を作成するべく、項目の精選を行っている。看護教員は看護職であるが、教員としての職業アイデンティティを持っていることが報告されており、看護専門学校と看護系大学教員では仕事の内容やエフォートに差異はあるものの、看護専門学校教員の職業キャリア成熟尺度原案に基づいて精選する方向で、検討中である。
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