4年目は調査計画の変更をした。3年目に「患者・家族の意思決定支援効果の測定」を立案したが、本研究は専門職(看護師)の家族調整スキルを上げるためであり、実践の結果の「支援効果測定」は、別の研究に分けることにした。 4年目の目的は次の2点であった。1つはフィールド調査結果の公表である。2019年度に行った、【H市の住民が終末期に「願う場で住みつづけられるのか】のフィールド調査結果は、論文化し国内学会で発表した。また、コロナ禍での「終末期をめぐるACP(人生会議)をめぐる患者・家族への意思決定支援等について、看護専門誌に掲載できた。 さらに2021年秋に(2019年度調査に続いて)【H市の全住民アンケート:コロナ禍の生活調査】を行い、住民の「生き方・生き場所」の実態と認識を調査した。現在その結果の論文化に取り組み、2022年度にパブリッシュの予定である。 2つ目は、専門職(看護師)を対象としたアクションリサーチ(=家族調整スキルを上げるための研修)の実施と効果測定であった。2020年度に引き続き、「長野がん看護/家族看護研究会」を主催し、解決志向型家族調整モデルのシートを用いて「事例検討会」「事例研究会」を毎月開催して計10回実施した。参加者は毎回20名前後であった。研究会では「事例研究」も開始し、終末期における意思決定支援の看護師の実践知の探究を行った。これらの研究会/研修会はすべてオンラインで実施し、共有ホワイトボードアプリやクラウドでの情報共有・データ保管などICTを用いての研修は、学習効果と受講者の満足度を上げた。 本研究は、終末期の意思決定(ACT=人生会議)のための家族調整が行えるように(援助職(看護師)が家族調整スキルを身につけて実施できるように)そのスキルの普及を図ることだった。アクションリサーチは順調に展開出来ており、援助職(看護師)の実践での取り組みは上がっている。
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