研究課題/領域番号 |
18K10190
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中尾 久子 九州大学, 医学研究院, 教授 (80164127)
|
研究分担者 |
木下 由美子 九州大学, 医学研究院, 講師 (30432925)
潮 みゆき 九州大学, 医学研究院, 助教 (40622113)
青本 さとみ 九州大学, 医学研究院, 講師 (50264841)
金岡 麻希 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (50507796)
酒井 久美子 九州大学, 医学研究院, 助教 (90778656)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 倫理研修 / 倫理教育 / 病院看護師 / 文献検討 / 学習ニーズ |
研究実績の概要 |
病院看護師はがん医療や終末期医療などの場面で、患者の人権や最善の治療・療養場所の選択などに関して倫理的問題に直面し、医療者として果たすべき義務と責務に関する問題に悩んでいる。また、この悩みが看護師の離職の一因となっているとも言われている。近年、看護部主催の倫理研修の機会が増え、倫理研修・教育に関する報告が増加しているが、看護師のニーズにあった研修の内容・方法、評価についてさらに検討することが必要だと考えられる。 そこで、まず先行研究の知見の整理および、新人・中堅・管理者の看護師の意見(ニーズや課題)の検討、倫理研修(教育)担当者の調査を行い、倫理研修の内容と方法、倫理的感受性、倫理的行動の評価を検討することを計画した。 平成30年度は、研究課題に関する国内外の先行文献を収集して文献検討を行った。特に病院機能評価に関連して増加している日本の病院看護師の倫理研修、倫理教育に関する文献を広く収集して、研究の動向、倫理研修・倫理教育の方法、評価方法、結果等について検討を行った。その結果、2007年以降に原著論文と解説、2009年以降に学会での報告が増えていた。原著論文では、看護師の倫理問題の認識・意識、倫理の知識に関する実態調査が多く、精神科病棟の看護師対象の研究が多かった。結果の概要は国内学会に2件発表し、国際学会での発表の準備を行っている。 また、倫理研修に対する意見について新人・中堅看護師を対象に調査を行い現状と課題を検討したところ、研修の必要性の認識および研修受講の希望も高かった。研修方法は講義・演習、内容は事例検討やコミュニケーションスキルなどの希望が見いだされた。今後、さらに対象者を増やして検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた看護管理者の調査、および倫理研修(教育)担当者への調査を通して、倫理研修についての考え方や取り組みの現状と課題を検討する予定が2019年度に持ち越しとなった。また、病院看護師の倫理研修・倫理教育の適切性や効果を測定する評価方法についての検討に時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、2019年度は複数の病院で倫理研修(教育)の担当者への面接調査を行い、教育担当者の視点から病院看護師の倫理研修の現状と課題を検討する。あわせて看護管理者への調査を行う予定である。 また、複数の病院看護師の倫理的感受性と倫理的行動、倫理研修に対する意見やニーズについて調査を行い、その結果を分析する。ここでは、看護師の看護キャリア、勤務部署などの個人特性による倫理的感受性、倫理的行動、倫理研修へのニーズなどについて検討する。調査で明らかになった倫理研修の現状と課題、教育ニーズに基づいて勤務部署や看護キャリアに応じた倫理研修の試案を作成する。その後、作成した試案を基に病院看護師を対象として倫理研修を行い、その前後での倫理的感受性、倫理的行動の変化を調査する予定としている。その際には調査を通して評価方法の適切性も検討したいと考えている。 これらの調査や検討で得られた成果を国内外の学会や学術誌などで公表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、複数の病院に出向いて行う倫理研修(教育)担当者への面接調査が遅れていることがあげられる、また一方で、文献収集の工夫や研究者間の連絡調整を効率的に行うことによって費用を節約することができたことも考えられる。 次年度以降、主に、1.倫理研修(教育)担当者との面接調査、2.複数施設の病院看護師対象の質問紙調査を予定している。面接調査に必要な物品費や旅費、質問紙調査に必要な質問紙と物品、通信費(個別郵送回答)、データ分析・資料整理のための人件費、会議費等が必要である。また、漸次、研究結果を国内外の学会や学術誌などで公表することを考えており、その費用として使用を計画している。
|