研究課題/領域番号 |
18K10201
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
小野 博史 兵庫県立大学, 看護学部, 講師 (70707687)
|
研究分担者 |
竹原 歩 兵庫県立大学, 看護学部, 臨床講師 (30733498)
濱上 亜希子 兵庫県立大学, 看護学部, 講師 (70780485)
河野 孝典 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (70876820)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 術後せん妄 / アセスメント / モニタリング |
研究実績の概要 |
本研究は、術後急性期に生じる精神機能の問題に対して、術後せん妄という症状ではなく、人に従来から備わるの情報処理能力一時的な低下と捉え、その回復過程を特定可能とするアセスメントツールを構築することを目的としている。 術後患者を対象として、古典的な情報処理モデルである「刺激の入力→情報処理→行動」という理論を枠組みとして、「どのような刺激が入力され、処理され、行動として表れているか」という視点での参与観察を計画し、これまでに、食道癌術後患者10名に対して術後調査を実施した。1名の観察ごとに評価項目を見直し、術後精神機能の回復アセスメントツールの精錬を続けた。当初は、抜管直後の安静状態から、棟内生活が自立するまでの精神機能の回復過程を追いかけていたが、臨床実践上の実用性の観点から、術後せん妄が生じやすい術後抜管後数日間の変化に焦点を当て直し、術後患者の参与観察を続けた。現在は、暫定版のアセスメントツールを臨床の看護師に実際に活用してもらい、その結果と研究者が評価した結果を照らし合わせながら、評価方法の問題点を抽出し、さらなる精錬作業を続けている。その最中で、看護師によるケア前後において患者の精神機能に「ゆらぎ」と呼べる大きな変化が生じていることが新たに明らかとなった。このような短時間の変化が、看護師による患者の精神機能のモニタリングを難しくしていることが予測されたため、ケア介入前に着目してアセスメントできるようにツールの改変を加えた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
20名の術後患者を対象として観察調査を実施する計画であったが、10名を終了したところで新型コロナ感染症対策のために院外研究者の立ち入りが禁止となり、症例観察が進まないまま1年間が経過している。2021年3月に院外研究者の受け入れ再開が決定したが、その後の第4波の流行に伴って再度立ち入り禁止となり、受け入れ再開のめどが立っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
今回、1年間の科研費補助期間の延長を行ったが、術後患者のベッドサイドでの参与観察の実現は難しい状況が続いている。従来の計画内容を大幅に見直し、患者の直接観察ではなく、臨床家へのインタビューを通してデータの補完を行っていき、アセスメントツールの完成を目指していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、臨床での参与観察調査が全面的に実施困難となった。遠隔でのヒアリング調査を進めようとしたが、看護師の業務内容も繁忙を極め、調査協力が得られにくい状況にあった。そのため、予定していた予算の執行が実現できなかった。 今年度は、臨床での参与観察調査が再開できない可能性を考慮して、オンラインで臨床家からのヒアリングを実現することに注力し、アセスメントツールの精錬を行っていく。また、現時点でのデータで成果公表を進めていく。
|