研究課題/領域番号 |
18K10203
|
研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
三宅 由希子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 講師 (60433380)
|
研究分担者 |
荻野 哲也 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (90252949)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 冷罨法 / 罨法用具 / 皮膚表面温 / 末梢血流 / 熱流 |
研究実績の概要 |
冷罨法として臨床現場で汎用される方法(CMC製剤、氷枕)での ①熱流、表面温度の経時的変化、②冷却物と被冷却物の温度差と距離における熱流の変化を把握し、冷罨法有用方法を検討する基礎的データを収集した。 冷却物にはCMC製剤、氷枕を使用し、それぞれ乾性タオルで覆った。被冷却物として恒温プレートを使用し、30℃、35℃、40℃の3パターンを設定した。被冷却物の恒温プレート、冷却物直上に熱電対を貼用して温度変化を測定し、被冷却物直上に熱流センサーを使用し熱流を測定した。 冷却物と被冷却物を接触させ、温度差が大きいほど熱流が大きいかった。接触直後は表面温度の低いアイスノンが氷枕と比較し熱流が大きいが、CMC製剤は時間経過とともに表面温度は上昇し、熱流も減少した。接触から60分後にはアイスノンの熱流は氷枕の熱流より小さくなる。氷枕は、接触1分後から約3時間後の氷が融解するまで一定の表面温度を保ち、接触から60分後まではCMC製剤が氷枕と比較し熱流は大きいが、1時間後までの間に表面温度は氷枕の方が低くなり、90分後には熱流は氷枕の方が大きくなる。 以上のことより、接触から1時間まではCMC製剤は氷枕と比較し熱流は大きく、すぐに冷却させたい場合はCMC製剤が適している。時間経過とともにアイスノンの表面温度は高くなり、熱流は減少する。熱量の積分値では、40℃では152分後、30℃では155分後にCMC製剤より氷枕が熱量が大きくなる。今回の研究結果から155分以上使用する場合には氷枕が奪う熱の量は大きくなったことから、持続した熱流を得たい場合には氷枕が適していると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に計画していた罨法用具の特性について、罨法の表面温度の経時的変化と熱流、冷却物と被冷却物の温度差と距離における熱流の変化を把握することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、身体各部に冷罨法を施した場合の皮膚表面温度、核心温、末梢皮膚血流、熱流を測定するとともに主観的な冷感や自律神経活動を評価し、冷罨法が身体に与える影響を検証する。 平成30年度の研究から、CMC製剤の表面温は時間経過とともに変化していくため、表面温度が一定となる氷枕を罨法用具として使用し、身体への影響を測定する。また、冷罨法に巻くタオルの湿性により熱流に影響を与えるため、実験ごとに新しい乾性タオルを使用する。室温、湿度が身体温度や罨法に影響するため、実験室環境を統一させる。 発熱(fever)や高体温(hyperthermia)、局所炎症の場合など、目的に対する効果的な冷罨法技術を検討する。
|