研究課題/領域番号 |
18K10204
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
敷田 幹文 高知工科大学, 情報学群, 教授 (80272996)
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研究分担者 |
山脇 京子 高知大学, 教育研究部医療学系看護学部門, 教授 (10516165)
吉村 澄佳 高知大学, 教育研究部医療学系看護学部門, 講師 (30533096)
齋藤 美和 高知大学, 教育研究部医療学系看護学部門, 講師 (50403902)
八木 邦公 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (30293343)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 看護演習 / 体位変換 / ウェアラブルデバイス / センサー |
研究実績の概要 |
本研究は,複数のウェアラブルデバイスを用いた行動分析を行うことによって,指導者の付添いがなくても質の高い看護が可能になる遠隔指導システムの構築を目的とする.看護実践では患者に共感しながら傾聴するコミュニケーションが重要であるが,現場では多様な状況・姿勢があり,手の動きなど,非言語の小さな動作が患者に影響することもある.そのため,実習現場で複数実習生の行動を指導者が離れた部屋から確認するのは困難で,さらに指示を伝えることもできなかった.本研究では,メガネ型デバイスのスマートグラスや各種ウェアラブルデバイスを用い,実習生の位置・姿勢・視線・頷き・手の動き等の多角的なデータ収集で行動を分析する.また,行動の特徴を熟練者と比較し,差異を実習生目線の映像と共に遠隔指導者に伝達することで,複数実習生の行動を把握しやすくし,スマートグラス上に指示を通知することも可能なシステムを構築する. 2019年度は,前年度に行った実験で得られた,多角的行動計測データを元に特徴抽出を行った.この実験では,実際に看護学科学生を被験者として,身体の各部位にセンサーを装着した上で,看護業務の一種である体位変換時の動きを収集した.このデータを元に分析したところ,腕の動きに手際良さの違いが出ており,また下半身の使い方,声がけ中の動き等,各所でスキルの高い被験者とそうでない被験者の違いが判明した.したがって,これらの箇所の行動計測を元に演習者の習熟度を自動判別することが可能であることがわかった.これらの成果は,国内シンポジウムおよび国際会議で報告済みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験では,センサー取り付け位置のズレや誤差があり,被験者による行動の個人差もあったことから,データの処理は予想以上に困難であったため,予定していた演習支援機構の開発は翌年度とした.しかし,結果的には,習熟度の違いにも関係する様々な特徴を発見することができたため,翌年度の評価実験が可能であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,演習者の行動情報を元に特徴抽出を行い,その結果を集約して遠隔指導者に提示するシステムや演習者自身の振り返り学習を支援するシステムの構築を検討する. また,看護演習支援システムのプロトタイプを実現し,提案方式の評価実験を行う.各機能が有効に稼働したかを分析し,実験終了後に利用者へのアンケート調査やインタビュー等を行い,本研究の方式の有用性を検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は計画からやや遅れがあり,後半のシステム開発を次年度にずらしたため,次年度使用額が生じた.予定していた開発は2020年度に行うので,その際に使用する計画である.
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