前年度までに調査した二交替勤務看護師と三交替勤務看護師のデータを総合して日本睡眠学会で発表し、またこれを英文論文として国際誌に投稿中である。この結果によれば、夜勤時の眠気の発生リスクは、二交替勤務においては夜勤経験の短さと“先行する主睡眠の総就床時間とその後の仮眠の合計時間”に関連し、三交替において日頃の業務における量的負荷の多さと関連していた。以上のことより、二交替勤務に適応が難しく眠気を生じやすい看護師が早く離職している可能性と、勤務前の主睡眠の量・質が次の夜勤時の眠気に可憐している可能性が示唆された。 他方、特に過酷でない勤務条件では、勤務間隔や夜勤中の仮眠の取り方の影響は小さいことがわかった。従来、ILOや日本看護協会では勤務間隔の影響を重視してきたが、それだけでは眠気対策として十分でない可能性がある。また当該勤務時の身体活動量は眠気と関連せず、日頃の忙しさが眠気と関連していた。ある勤務における身体活動量と眠気との関連について先行研究の結果は一貫していなかったが、本研究によれば身体活動量の多さが直ちにそのシフトにおける眠気をもたらすものではないと考えられる。日頃の業務の多さは、夜勤に先行する日中睡眠の不全をもたらしている可能性が考えられる。本研究のデータ収集と分析方法を応用すれば、より経験が短い看護師や、多忙な病棟に勤務する看護師における眠気のリスク要因を検討できることが示唆された。
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