研究課題
タッチケアの一種であるタクティールケアの介入が入院治療中のがん患者に及ぼす睡眠効果を明らかにすることを研究の目的として介入研究を行った。対象は入院治療中の女性がん患者であった。タクティールケアを行わない未介入日(介入前)とタクティールケア介入日(介入後)で、アクチグラフによる睡眠・覚醒の定量データ、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を、Wilcoxon符号付き順位検定比較を行った。結果、タクティールケアの介入日は未介入日より、 覚醒時間帯の仮眠回数の増加、睡眠時間帯の中途覚醒時間の減少、睡眠効率の上昇に有意差が認められた。PSQI総得点は、介入日は未介入日より有意に減少し睡眠効果があった。結論として入院治療中のがん患者に対するタクティールケアは睡眠の改善をもたらすことが明らかとなった。施術者(援助者)は自分自身の手掌を用い、対象者(患者ら)に対して、対象者が希望する体位(仰臥位、側臥位、腹臥位、座位等)で、『背部と手部』または『背部と足部』ケアプログラムとして撫でるケアを実践した。介入は身体症状や治療により体位制限があるがん患者に対しても、患者本人の要望又は看護職の勧めにより、定期的に関った。介入に対する反応として、「身体がポカポカして温かくなった」「安心できた」「夜いつもより眠れた」「脚の指が開いて歩きやすくなった」「嫌なことを忘れられた」等の声や昼寝、活動範囲の拡大、スムーズな入眠等の行動が見られた。一部、身体症状の強い患者は「手を握ってくれるだけでいい」といった撫でる行為を拒否する患者も存在した。タクティールケアプログラムは医療・介護現場等で簡便で有効であると判明した。タクティールケアプログラムは意図的な援助として医療・介護現場で用いることが可能であると考えた。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
看護理工学会誌
巻: 8 ページ: 109~121
10.24462/jnse.8.0_109