研究課題/領域番号 |
18K10219
|
研究機関 | 名古屋学芸大学 |
研究代表者 |
滝沢 美世志 名古屋学芸大学, 看護学部, 講師 (20736269)
|
研究分担者 |
太田 勝正 東都大学, 沼津ヒューマンケア学部, 教授 (60194156)
前田 樹海 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (80291574)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 道徳的感受性 / 看護学生 / 尺度開発 |
研究実績の概要 |
本研究においては、我が国における看護学生の道徳的感受性を評価するための標準ツールとして広く活用するために、①道徳的感受性尺度第2版を改訂して道徳的感受性尺度看護学生版第3版を開発すること、②開発した道徳的感受性尺度看護学生版第3版と看護師向けの既存の道徳的感受性尺度との整合性を確認することを目的として進めている。 2019年度は、道徳的感受性を構成する3つの要素(道徳的強さ、道徳的な気づき、道徳的責任感)を反映した道徳的な問題を含む3つの場面のビニエットを作成した。 2020年度は、作成したビニエットを用いて看護学生を対象としたフォーカスグループインタビュー(FGI)を実施し、どのような道徳的な問題があるか、看護学生としてどうすべきかを尋ねた。また、FGIから得られた意見に基づき24項目からなる第3版draft1を作成した。 2021年度は、24項目の第3版draft1を用いて、FGIに参加した看護学生を対象として、内容(表面)妥当性を確認した。FGIで得られた看護学生の意見を基に修正した22項目の第3版draft2を用いて、看護倫理教育と研究に豊富な経験を有する専門家10名により、Lynn(1986)の内容妥当性の定量化の方法に基づいて4段階のリッカートスケールによりContent Validity Index(CVI)を算出した。その結果、22項目中21項目についてItem-CVI 0.8~1.0であった。Item-CVIの低かった1項目を削除した21項目のScale-CVIは0.96であり、この21項目の第3版を作成した。この第3版を用いて、質問紙調査を行い、その結果をもとに道徳的感受性尺度看護学生版第3版を完成させる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度には、内容妥当性の支持された第3版を用いた質問紙調査を実施する予定にしていた。しかし、実際は看護学生を対象としたFGIの結果に基づいた第3版draft1の開発、および専門家パネラー10名による第3版の内容妥当性の確認をするにとどまった。そのため、計画よりやや遅れている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
第3版を用いて看護学生を対象とした質問紙調査を実施して妥当性、信頼性の確認を行う。また、開発した学生用の第3版と看護師向けの既存の道徳的感受性尺度との整合性を確認する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)コロナ禍により予算執行の遅れが生じている。具体的には、質問紙調査の実施が遅れているため、調査に必要な調査依頼書、および質問紙の印刷、配布回収のための予算が執行されていないこと、また、質問紙から得られたデータ解析のためのSPSSソフトについて1年限定のGrad Packを購入するにとどまったためである。さらに、これまでに得られた成果について国際ケア倫理学会での発表を計画していたが、規模が縮小され演題の一般応募ががなかった。そのための海外旅費と参加費が発生しなったためである。 (使用計画)2022年度は、作成した道徳的感受性尺度看護学生版第3版を用いた質問紙調査を行う予定である。また、得られたデータの解析をするために、SPSSソフトを購入する予定である。また、国内学会についても、オンライン参加が主流となり、当初計画通りの旅費等が発生しないとともに国際学会については、未だに所属機関からの渡航自粛要請があり参加は困難である。したがって、これらについては未執行となる可能性がある。国際学会での成果発表が困難なので、本研究成果のうちの道徳的感受性を問いかけるヴィニエットについて、ビデオ教材の形にして、広く看護倫理教育で活用してもらうことを計画したい。
|