本研究の目的は、我が国における看護学生の道徳的感受性を評価するための標準ツールとして広く活用するために、①道徳的感受性尺度第2版を改訂して道徳的感受性尺度看護学生版第3版を開発すること、②開発した道徳的感受性尺度看護学生版第3版と看護師向けの既存の道徳的感受性尺度との整合性を確認することである。そのために、ビニエットを用いたフォーカスグループインタビュー(FGI)を実施して質問項目の作成、および質問紙調査を実施して信頼性妥当性の検討を行った。 1)2019年度は、道徳的感受性を構成する3つの要素(道徳的強さ、道徳的な気づき、道徳的責任感)を反映した道徳的な問題を含む3つの場面のビニエットを作成した。 2)2020年度は、作成したビニエットを用いて看護学生を対象としたFGIを実施し、FGIから得られた意見に基づき24項目からなる第3版draft1を作成した。 3)2021年度は、第3版draft1を用いて、FGIに参加した看護学生を対象として、内容(表面)妥当性を確認した。FGIで得られた看護学生の意見を基に修正した22項目の第3版draft2を用いて、看護倫理教育と研究に豊富な経験を有する専門家10名により、Lynnの内容妥当性の定量化の方法に基づいてContent Validity Indexを算出した。その結果について日本看護倫理学会で学会発表した。 4)2022年度は、この第3版を用いた質問紙調査を行うための最新の文献検討および倫理申請の準備を行い、 5)2023年度は、質問紙調査を実施した。得られた結果について、探索的因子分析を実施し、その後確証的因子分析などを実施して、内容妥当性、基準関連妥当性、構成概念妥当性と信頼性の検討を実施して十分な妥当性・信頼性のある第3版を得た。また、ビニエットの有効性が調査結果から示唆されたのでより有効性を高めるための実写映像化を行った。
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