本研究は、さまざまな組織的条件が個々の看護職者の倫理的行動に与える影響、および個々の看護職者の行動が組織に与える影響を明らかにすることを目的とした。これらの影響要因は現時点で明らかではないため、本研究ではインタビューに基づく探索的質的研究を行うこととした。また並行して、既存の倫理学説を拡張・更新して組織倫理を論じられるようにするため、理論面からも研究を進めた。 より具体的には、インタビューは次のように計画した。施設規模等によって組織の条件は異なることが予想されるため、病院規模ごとに3施設ずつ、訪問看護ステーション3施設を対象とする(計15施設)。職位によって組織での影響力や組織条件の経験のされ方が違うことが予想されるため、各施設の看護部長1名・師長1名・スタッフ看護師2名にインタビューを行う(15施設×4名=計60名)。インタビューは半構成的面接とし、組織と倫理的実践の関係について感じていることや考えていることなどをできるだけ幅広く語ってもらう。 3年計画の初年度にあたる2018年度は、インタビュー開始に向けて、研究代表者の所属大学の研究倫理委員会に計画を申請し、承認を得た。その後、インタビュー対象施設・対象者の募集を行い、一部インタビューを実施した。2年目の2019年度は引き続き協力者を募ってインタビューを実施し、逐語録の作成等を行った。しかし2020年3月に予定していたインタビューは、新型コロナ感染症拡大のため実施を延期した。2020年度もコロナ感染症の影響等により、予定していたインタビューを完了することができなかった。現在、実施できたインタビューの結果を取りまとめを行っている。
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