研究課題/領域番号 |
18K10230
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
前田 留美 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 特任講師 (60341971)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 現任教育 / シミュレーション教育 / 臨床判断 |
研究実績の概要 |
前年度の成果より、看護シミュレーション教育においても技術教育・手順教育を目的としたシミュレーションから、臨床判断を養う教育(シチュエーショナル・トレーニング)が着目されるようになってきたことを踏まえて、看護師の臨床判断に関連する要因を明らかにすることを目的とした論文を発表した。 造血幹細胞移植後に皮膚の移植片対宿主病(GVHD)を発症した患者に対する看護師の臨床判断は、モニタリング指標となる重要な症状を判別できているとは言い難く、その正確性と臨床経験年数、知識の習得とは直接的な関連が見出せなかった。臨床判断の正確性を向上させるためには、単に経験年数を重ねる、知識を習得するだけでは十分でなく、知識と患者の情報を関連付け、分析するプロセスが重要であるという「看護師の臨床判断モデル(Tanner, 2006)」が支持された。臨床判断の向上を目指した教育プログラムでは、この知識と患者の情報の関連付け、分析のプロセスに重点をおいた教育的介入が必要であると考えられた。 この知見、ならびに前年度の成果物であるNational League for Nursing(全米看護連盟)のシナリオ作成ガイドラインは、共同研究者として参画した、ICUでの急変時対応・若手リーダー育成を目的としたシミュレーション教育プログラムに活用し、その作成プロセス、教育効果を国内学会で共同演者として発表した。 さらに共同研究者として参画している「成人科から小児をケアする病棟へ異動した看護師のを対象とした小児看護を学ぶ教育プログラム」にも活用し、教材作成を行っている。これらの教育プログラム作成への関与を通じて、米国の教育者コア・コンピテンシーと日本の現任教育担当者に求められる能力について検討してゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症による複数回の緊急事態宣言による影響で、当初計画していた施設等を対象とした現任教育の実態調査、ならびに「ロービジョン(弱視)患者をケアする看護師の育成プログラム」に、ほとんど進展が見られなかったことが原因である。 これらの原因は不可避であり、対応に限界があった。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長し、施設等を対象とした現任教育の実態調査、ならびに「ロービジョン(弱視)患者をケアする看護師の育成プログラム」は次年度に実施することとした。緊急事態宣言等の状況を考慮し、必要であれば質問紙調査からインタビュー調査への切り替え、規模の縮小等を検討してゆく予定である。 さらに研究期間が延長された分、教育プログラムの作成に関与する機会を増やし、米国の教育者コア・コンピテンシーと日本の現任教育者に求められる能力について検討してゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた国際学会(2件)、国内学会に参加できなかったことが、次年度使用額が生じた原因である。次年度も国際学会・国内学会への参加は困難であると考えられるため、施設調査、論文投稿の際の校正費用等に充当する予定である。
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