研究課題/領域番号 |
18K10233
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
佐伯 由香 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (70211927)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 皮膚バリア機能 / 角質水分量 / 経表皮水分蒸散量 / 皮膚知覚 |
研究実績の概要 |
昨年度はラウリル酸ナトリウム(SLS)溶液を前腕手掌側に閉塞的に貼用して皮膚刺激を行い、皮膚バリア機能の指標である経表皮水分蒸散量(TEWL)を人工的に変動させ、そのときの皮膚知覚閾値ならびに疼痛閾値への影響を検討した。その結果、SLS溶液は濃度依存的にTEWLを上昇させること、それに伴い知覚閾値や疼痛閾値が有意に低下することを明らかにした。この結果で決定したSLS溶液の濃度を用いて、今年度は研究協力者を募り、データ収集を実施し、医療用粘着テープとの検討を行う計画であった。しかし、コロナ禍で学内への入構制限などの対応もあり、十分な研究協力者を確保できなかった。そのため、昨年度得られたデータの解析をさらに進めた。皮膚の乾燥によっても皮膚バリア機能は低下することから、角質水分量とTEWL、知覚閾値ならびに痛覚閾値との関係を検討した。その結果、角質水分量とTEWLとには負の有意な相関関係がみられた(r=-0.4352)。このことは、角質水分量が低下するとTEWLが上昇する、つまり皮膚バリア機能が障害されることを示している。さらに、角質水分量と知覚閾値(r=0.5692)と痛覚閾値(r=0.5625)との間には有意な正の相関がみられた。これらのことから角質水分量も皮膚バリア機能の維持に関わっており、皮膚知覚とも関連付けて検討する必要があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの感染拡大予防のため、大学内への入構制限などの対応により、研究協力者を十分確保できなかった。そのため、予定したデータ収集が実施できず、研究が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度できなかったSLS溶液を用いた実験を実施しデータ収集を引き続いて行う。さらに医療粘着テープ貼付との関係を検討することとする。今年度も感染予防のため、研究協力者の確保が難しくなる可能性も考えられる。しかし、本研究は人を対象としているため、入構制限が解除されたときに、集中してデーター収集ができるよう、準備を進めておく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大予防の対応のため、十分な研究協力者の確保ができず、データ収集が行えなかった。今年度は、引き続きデータ収集を行う。その際、感染予防対策をしっかりとして、限られた時間の中で効率よくデータ収集を行えるよう準備を進めておく。
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