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2018 年度 実施状況報告書

褥瘡を有する患者のポジショニングー生体装着型モデルを通した創傷への影響解明からー

研究課題

研究課題/領域番号 18K10241
研究機関山口県立大学

研究代表者

田中 マキ子  山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (80227173)

研究分担者 磯貝 善蔵  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 部長 (20285208)
高橋 佳子  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 研究生 (70782027)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード創変形 / せん断力 / 皮膚の可動性 / ポケット形成 / 創の固定 / ズレ抜き
研究実績の概要

平成30年度は、「ポジショニングと創変形の可視化システムの確立と方法に関する仮説の立案」である。ファントム使用による創変形について実験を行った。
明らかにしたい事は、人間を覆うつながった皮膚が、創となって破綻した場合には、創変形(創へのダメージ)が不規則に生じるという仮説である。それ故、創を有するポジショニングには、どのような方法を用いながら行うべきであるかについて示すことである。
予備実験では、背上げ角度と潰瘍モデルの上下、左右径の変化について検討を行った。結果、上下径、左右径ともに圧縮され、上下方向に優位に圧縮されることが確認できた。本年度再度行った実験においても同様な結果であった。創の周囲が不規則に変形すると予測していたが、創形状は、楕円から横長形状へ変化し、特に足(臀部)側のポケットを模した部位において変形がおきていた。背上げ刺激(せん断力)に対し、上下径は強く影響を受け、左右径は若干の影響を受けるという規則性が確認できた。
我々の実験では、仙骨部上での検討であったため、骨との影響について考慮するため、踵部褥瘡との状態を比較検討した。触診により皮膚の可動性を観察した結果、踵部よりも仙骨部の方が優れており、背上げ等の創変形への外力には、仙骨部上創傷は柔軟に追従することが分かった。この結果は、仙骨部褥瘡等にはポケットを有する形状が必発するが、踵部褥瘡には、ポケット形成が少ない臨床所見と合致するものである。
平成30年度の検討より、せん断力と創変形との関係は、皮膚の可動性を媒介し、身体軸がねじれ等を生じないポジショニングが行われるならば、創変形には上下方向のせん断力が影響し、尾側へのポケット形成を誘発する。よって、せん断力を緩衝する背抜き(ズレ抜き)や創傷を固定するなどは、創変形・ポケット形成を予防できるポジショニング方法として有効であるとの仮説とする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ファントム実験から、創傷変形についてのせん断力の影響についての考察、具体的なポジショニング方法の示唆が得られた。
これまでの検討内容をまとめ、英文誌への投稿を行ったが不採択であり、研究の新規性を十分に示すことができなかった。検討内容についての論述を再度検討し、執筆投稿したい。

今後の研究の推進方策

2年目には、創傷を有する患者のデータから、ポジショニングと創変形との関係について、明らかにする。初年度研究において、皮膚の可動性の課題が示唆されたため、仙骨部褥瘡と踵部褥瘡等、創傷部位との関係も考慮し、対象患者を選定する。
仙骨部褥瘡または踵部褥瘡を有する患者を選定し、通常のポジショニング(直接法)による創傷変形への影響と間接法を用いた場合のそれとを、クロスオーバー法により比較する。測定については、創傷変形を表すひずみゲージによるズレ力の測定、体圧測定、安楽への影響として筋電図、主観的評価、創変形の写真撮影を計画。ひずみゲージによる測定は、プローブ貼付が高齢者皮膚へ悪影響を及ぼす可能性があるため、キュートメーター等による部位別皮膚の可動性の事前測定から検討したい。測定部位にプローブをあてるだけで測定できるため、対象患者への測定による有害事象を回避できるためである。
施設での倫理許諾を取り、症例検討のための時間を十分に確保できるようにし、研究を進めたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Polypoid granulation tissue in pressure ulcers: significance of describing individual ulcer.2018

    • 著者名/発表者名
      1.Takahashi Y, Nagai Y, Kanoh H, Mizokami F, Murasawa Y, Yoneda M, Isogai Z
    • 雑誌名

      J Tissue Viability

      巻: 27 ページ: 217-220

    • 査読あり
  • [学会発表] 新生児用マットレスの構造の検討2019

    • 著者名/発表者名
      田中マキ子
    • 学会等名
      第19回日本褥瘡学会中国四国地方会
  • [学会発表] 仙骨部褥瘡における茸状肉芽所見2018

    • 著者名/発表者名
      17.高橋佳子、加納宏行、溝神文博、米田雅彦、磯貝善蔵
    • 学会等名
      第20回日本褥瘡学会
  • [学会発表] ポジショニングの最新技術2018

    • 著者名/発表者名
      田中マキ子
    • 学会等名
      第20回日本褥瘡学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 体圧分散用具とマイクロクライメットとの関係の検討2018

    • 著者名/発表者名
      田中マキ子
    • 学会等名
      第20回日本褥瘡学会
  • [図書] 褥瘡予防のためのポジショニング2018

    • 著者名/発表者名
      田中マキ子、北出貴則、永吉恭子
    • 総ページ数
      112
    • 出版者
      照林社
    • ISBN
      978-4-7965-2446-9

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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