研究課題/領域番号 |
18K10243
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研究機関 | 愛媛県立医療技術大学 |
研究代表者 |
相原 ひろみ 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 助教 (10342354)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 看護倫理 / 看護教育 / プログラム開発 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、①本尺度「看護大学生の看護実践における倫理的行動評価尺度」(平成29年度に信頼性・妥当性を確認済み)、②道徳的感受性尺度、③日常生活経験、④個人背景からなる質問紙調査を実施した。1341名を対象に調査を実施し、247名(回収率18.4%)から回収し、230名(有効回答率17.1%)を分析対象とした。日常生活経験が道徳的感受性に影響を及ぼし、道徳的感受性が倫理的行動に影響を及ぼすという共分散構造モデルを構成し分析を行った。モデルの適合度はGFI=0.963、AGFI=0.927、CFI=0.959、RMSEA=0.069であった。[日常生活経験]から[道徳的感受性]へのパス係数は0.62、決定係数は0.38、[道徳的感受性]から[倫理的行動]へのパス係数は0.61、決定係数は0.38であった。重回帰分析の結果、道徳的感受性に関係する要因として、「学習経験」(β=0.172,p<0.05)、「倫理的場面の経験」(β=0.153,p<0.05)が有意に関係していた(調整済みR2=0.115)。この結果から、学習経験と倫理的な場面の経験が道徳的感受性に影響し、倫理的行動に影響することが明らかとなった。この結果については、2019年6月に開催される日本看護倫理学会で発表する予定である。 なお、この①の本尺度を使用し、2018年10月および2019年2月に、従来型の授業での看護倫理の授業を終えた2~4年次の学生225名を対象に、倫理的行動についてのデータを収集し、これからデータを分析する段階である。 本研究の結果から、教育的関わりによって、学生の日常生活経験を重視し、道徳的感受性の醸成がなされることによって、倫理的行動につながると考える。H31年度に行う教育プログラムの開発によって、教育の影響が生じると考えられる学生に対してデータ収集を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H30年度に行う予定であった尺度の信頼性・妥当性の検討については、平成29年度に実施できたことから、予定通りに遂行している。 2019年4月に所属する大学を移動したため、2019年10月に実施する予定の看護倫理の授業(プログラム開発を行って教育評価を実施する予定)について調整中である。
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今後の研究の推進方策 |
本尺度を使用し、2018年10月および2019年2月に、従来型の授業での看護倫理の授業を終えた2~4年次の学生225名を対象に、倫理的行動についてのデータを収集し、これからデータを分析を行う。 2019年は、学生の臨地実習での体験を、Gibbsのリフレクティブサイクルをデブリーフィングに活用した授業設計を準備し、学生の倫理的感受性を高め倫理的行動につながる教育プログラムの開発を行う。2019年10月(予定)に、学生に対しての授業を実施する。授業前、授業後の2回に加えて、2020年2月の基礎看護学実習後と2020年10月の領域別実習前と2021年2月の領域別実習中に①本尺度をもちいて倫理的行動を測定する。 この研究で目指すのは、倫理的感受性を高める教育方略にとどまらず、看護実践において看護学生の倫理的行動につながるアクションプランを視野に入れた教育プログラムである。学生が主体的に臨床推論から分析、評価・判断のうえで、アクションプランまでつながるサイクルの構築を目指すものである。 このプログラムによる学習を終えた学生の教育評価として、プログラムを用いた授業の半年後に実施される臨地実習における倫理的行動を自己評価尺度によりデータ収集を行う。平成30年までの従来型の授業を受けた学生の倫理的行動自己評価尺度による行動の比較(データは2018年と2019年2月に収集済み)を横断的に分析し、学生の実習における倫理的行動についての変化を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、所属する教育機関でのデータ収集を含んだことから、郵送費の一部がかからずにデータ収集ができた対象者が含まれた。2019年度は、勤務先が変わったため、研究打ち合わせやデータ収集にかかる費用が増える可能性が高いため、残額を2019年度に持ち越して使用することとした。
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