リフレクティブサイクルによるデブリーフィングを取り入れた教育プログラムの開発・検証により、看護倫理教育の方法についての検討を行うことを目的に本研究を実施した。看護大学生が4年間の教育課程のなかで、どのように道徳的感受性をもって倫理的行動を実践するのかを検証するには、倫理的行動を測定する尺度が必要だったため、「看護大学生の看護実践における倫理的行動自己評価尺度」を開発し、尺度の信頼性・妥当性を検証し、看護大学生が使用できる尺度であることを確認した。 倫理的行動には何が影響を及ぼしているのかを検証するために、関連要因の検討を行った。その結果、日常生活経験のうち、学習経験と倫理的場面の経験が道徳的感受性に影響していることを確認した。道徳的感受性は倫理的行動に影響していることも確認した(決定係数0.38)。 これらの研究成果を踏まえ、学習経験のひとつと考えられる看護倫理の授業に、リフレクティブサイクルモデルを取り入れた教育プログラムを開発し、2年生から4年生にかけてどのように倫理的行動が変化するのかを検証した。2019年から2020年にかけて、教育プログラムの実践およびデータ収集を行い、対象学生の倫理的行動がどのように変化するか検証した。結果、COVID19の感染拡大のために臨地実習の形態が大きく影響を受けており、受け持ち患者への看護実践があまり行われず、看護大学生が看護実践において倫理的行動を行えたかどうかの検証は困難であった。今後、このプログラムを受けた学生が、従来型の授業を受けた学生と比較し、倫理的行動に変化があるかどうかを継続して検証すること、および学生時代の倫理的行動と、看護職者にあったのちの看護職者としての倫理的行動に相関があるかどうかを検証することで、プログラムの有効性を検証する必要がある。
|