これまでの成果から「量的看護研究論文執筆における統計報告のためのガイドライン」の案を作成し,研究者のウェブサイトの掲載すると共に,本ガイドラインについて学会で発表した。 ガイドラインの作成に当たっては,既存の研究報告ガイドライン,他領域の論文執筆マニュアル,量的研究,特に統計解析に関する記述のルールについて収集整理し,細目を決定した。また,ビギナーをメインの対象として想定し,必要度の高いものにコンパクトに絞り込み,また,単なるガイド・ルールだけでなく,「なぜか」という説明で補足することにより,さらに研究スキルの向上に資する資料となることも意図した。 ガイドラインは3セクション構成で「1.このガイドラインについて」で目的や利用の仕方を,「2.記載すべき事項」で,統計に限らず,明確な記載が必要な事項,例えば研究デザイン,対象の選択・除外基準等,論文で記載する順に整理した。「3.統計解析の記載」は,方法で記載すること,結果の記載ルール,結果読み取り時の注意点に整理した。例えば,方法には統計ソフト名,サンプルサイズの根拠,有意水準の設定などを。結果の記載では,原則的にP値を記載すること,などを。結果読み取りでは,よくある「有意でない=帰無仮説を積極的に支持」の誤解など,簡潔にチェック項目を整理している。また,2と3では,根拠と記載例を追加している。参考資料等のリストも含み,現状全6ページ程となった。 研究として一区切りではあるが,まだガイドラインとしては完全ではなく,多くの方,特に研究のビギナーに参照していただきたい。そのプロセスを経て,有効性を確認し,さらに改訂を継続したい。
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