本研究の目的は、神経難病患者を対象に、生命活動の維持を含む身体活動の実態について把握すると共に、看護師の知識や経験に基づき、どのように看護上の判断やケアがなされるか、その構造を可視化し、より健康的な<運動と休息>の在り方を検討することである。 今年度は、神経難病の患者が療養するフィールドにおいて、看護学生が、生命活動につながるどのような事象に注目し、その意味を考察しているのか、その特徴を実習記録より分析し、学生が描いた神経難病患者の対象像の広がりにつながる要素について考察した。<運動と休息>のバランスをとるためには、身体面からのアプローチには日々の細やかなケアの連続が土台にあり、さらに家族の支える力により、より心地よさが増大するという意味を見出していた。さらに、そのバランスが徐々にくずれていく段階においても、患者はその変化を直視し、自身の力を最大限に活用しながらバランスを取り戻そうとする存在であるという、特徴を見出していた。また、健康者への腰背部温罨法による皮膚表面温度の変化をサーモグラフィーを用いて計測し、腰背部温罨法実施中後のいずれかで、上昇し、さらに温まり方などの個別な特徴が画像にて確認することができた。 これまでの取り組みにより、看護者は、病態が進行する中でも、神経難病患者のニーズを患者自身が自ら発信できる力としてとらえ、日々変化する生活する力の有り様を細やかに観察し、患者のもつ支える力をうまく活用して、患者の望む生活を創り出せるよう支援しているという特徴を浮き彫りにすることができた。さらに、そのような看護実践を看護学生が参加観察することで、神経難病患者に潜む力に気づき、病態が進行しながらも、そのもてる力がうまく働くよう支えることの看護的意味を見出せることが確認できた。
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