研究課題
少子高齢化の進展、医療サービスを必要とする高齢者人口の増加は、看護労働力の深刻な不足につながっている。看護職の離職はライフイベントによる背景や、ストレスによる離職も報告され、仕事と生活のバランスを保つことの重要性が言われている。そこで看護職Work-life balance(WLB)調節力を評価できるstriving for WLB(S-WLB)behavior scaleを開発し、S-WLBと健康保持能力である一貫性の感覚(SOC;sense of coherence)が離職意向に影響を及ぼすかを縦断研究によって調査した。ベースラインで2239人の看護職を対象に質問紙調査を実施し、有効回答者1368人でコホートを設定し、6か月後に追跡可能な975人の離職意向を評価し重回帰分析を実施した。S-WLBは離職意向に影響を与えていたことが明らかとなり、ワーク・ライフ・バランス行動への取り組みが少ない看護師は、離職意向が高かった。SOCは離職意向に直接的に影響を及ぼす要因として特定されなかった。また、本調査で離職意向に最も影響を与えた要因はバーンアウトであり、バーンアウトした看護師がどのようにすれば離職意向を軽減させることができるのかを明らかにするために、バーンアウトに伴う離職意向への因果モデルとして、SOCとS-WLBを媒介とした検討を試みている。快適なワーク・ライフ・バランスを確保することで、看護職の離職意向を減らすことができる可能性がある。看護管理者は看護職員がより良いワーク・ライフ・バランスを達成するのを助けることができるようにサポートすること、看護職自身でWLBを調節していくことの重要性を教育し、バーンアウトしたままで働き続ける職員の離職予防のために、WLB調節力を向上させるためのプログラム開発の一端となった。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
INQUIRY: The Journal of Health Care Organization, Provision, and Financing
巻: 58 ページ: 1-9
10.1177/00469580211005192