研究課題
本研究は、誤嚥性肺炎につながる事前予兆の察知に向けて、患者の基本情報と生体情報、顔座標のデータを蓄積し、特徴量(患者の基本情報ならびに生体情報:SPO2、指尖容積脈波、口唇・顎の座標)を抽出し、判別式の的中率を向上させる。機械学習を用いた誤嚥性肺炎の予兆を探知するモニタリング手法の開発を目的としている。機械学習によって最適な特徴量選択することができれば、有効なモニタリング手法の開発につながる。このモニタリング手法の活用により、摂食嚥下障害患者の安全な経口摂取に向けた、エビデンスに基づく援助計画の立案につながると同時に、摂食嚥下リハビリテーションに向けた栄養に関する指導が可能となる。嚥下障害患者で嚥下造影検査を実施する対象者に対して、基本情報(年齢、性別、摂食状況のレベル)、機能的自立度評価(FIM)、栄養状態、肺炎の既往、バイタルサイン、生体モニタリング(SPO2、指尖容積脈波、顔・顎・頚部の画像)等とフェイス・トラッキングによる口唇と口角、下顎等の座標と移動速度についてデータ収集し、データの蓄積を試みた。しかし、調査期間を2年間延長したものの、コロナ禍の影響を受けて、嚥下障害患者を対象とした調査の開始が遅れることとなった。現在、調査対象施設の協力が得られ、データ収集および分析をしている段階である。今後、データを蓄積した後に、日常的な観察につなげるために、特徴量を抽出して、判別モデルを作成し、精度向上のためにアルゴリズムの見直しと、学習データ・セットの組み合わせを検討して、最適化を行う予定である。