研究課題/領域番号 |
18K10250
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研究機関 | 千葉科学大学 |
研究代表者 |
櫻井 嘉信 千葉科学大学, 危機管理学部, 准教授 (90600221)
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研究分担者 |
黒木 尚長 千葉科学大学, 危機管理学部, 教授 (30225289)
冨樫 千秋 千葉科学大学, 看護学部, 教授 (40312897)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 熱中症 / スポーツ / WBGT / ウェアラブル端末 / 風 / 高齢者 / サウナ / 深部体温 |
研究実績の概要 |
熱中症は様々なところで起こっている。暑い時期でのマラソン大会での発生、高齢者の室内熱中症、9月の運動会練習中の生徒児童の熱中症。いずれも体調の異変に気付けば、救急搬送されることなく、軽症に留まり、応急処置だけで対応できる。しかしながら、実際には中等症もしくは重症熱中症で、救急搬送される事例が後を絶たない。また、暑熱環境に長時間いたことが明らかな状況で死亡発見されることも少なくない。本年度は、NAHAマラソンでの熱中症の発生、クーラーをつける習慣のない高齢者の体温の推移、体温を超える炎天下での体温の推移などについて検討した。まず、疫学研究では、大阪市内で熱中症により救急搬送された匿名化された患者のデータを入手し、大阪市の時間ごとの気象データと照らし合わせたところ、労作時熱中症、屋外熱中症、室内熱中症を問わず、風速が強いほど熱中症患者が多くなることが明らかになった。また、予想通りではあるが、暑さ指数(以下、WBGT)が高いほど加速度的に熱中症患者が増えることが明らかになった。次に市民マラソン大会での研究調査もスタートさせ、NAHAマラソンで地点ごとのWBGT測定などを行った。この研究については、救急搬送データが得られておらず、フィールドワークだけにとどまっているものの、場所によってはWBGTが26まで上昇し、陸上競技場内のトラックの表面温度と芝の表面温度は5℃の差が見られる地点もあった。クーラーをつける習慣のない高齢者の体温の推移、体温を超える炎天下での体温の推移についての検討では、体温の上昇は37.5℃までに留まり、熱中症の症状が出現することはなく、過酷な暑熱環境であっても、中等度熱中症以上の症状が出現することは珍しく、条件が揃わない限り、熱中症が発生しない可能性が高い。逆に言えば、症状に気づかない要因を探ることが重要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、コロナ禍のため、研究が制限され、思うように動けなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、研究計画に基づき、推進させていくが、今、研究を通して、新たに発見した熱中症のモデルとなる、低温サウナに関する疫学研究や実証研究を追加する予定である。ただ、コロナ禍の影響で、NAHAマラソンなどでの研究調査が本年度もできない可能性が高いため、新たな戦略を考える必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に行った研究、フィールドワークに必要とした研究費が、コロナ禍のため予想より下回ったため。次年度により多くの研究調査を行い、順調に研究費を使用したい。
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