研究実績の概要 |
本研究は、精神科病棟の看護におけるEBP(Evidence Based Practice)の実践適用ツールを作成し、実践適用モデルを開発することが目的である。 まず、実践適用ツールのコンテンツ作成のため、精神科病棟の看護におけるEBPの知見の収集と質的な統合を行った。「行動制限最小化」に関する日本語論文を検索したところ、251件が該当し、うち原著論文は142件であった。そのうち行動制限最小化に関し研究方法について詳細に述べられている3論文の結果を質的に統合したことにより、行動制限最小化のための患者本人への看護の概念を明らかにできた。 次に研究期間の後半はエビデンスレベルが高い結果を統合することを目的として、身体拘束の減少を目指した介入に関するランダム化比較試験の研究についてシステマティックレビューにより評価した。 文献検索の結果,和文献35,英文文献568の合計603件の文献が検索された.最終的に8文献が適格基準を満たし、うち5論文で介入による身体拘束の実施度合いの減少がみられていた.暴力リスク評価についての看護師への教育的介入(Hvidhjelm et al., 2022,Abderhaide et al.,2008), ディエスカレーション技術訓練(Celofiga et al., 2022, Ye et al., 2021), Six Cores Strategiesの導入(Putkonen et al.,2013)であった. 身体拘束の減少をもたらす介入に関する研究は日本を含む多くの国で実施されて論文化されているが、ランダム化比較試験を実施し、かつ、身体拘束の実施度合いまで計測し、介入の効果を評価している研究は非常に限られていた。これら高レベルなエビデンスを元に、日本に特化した介入プログラムの開発と効果を検証するための研究計画の立案につなげることができた。
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