研究課題/領域番号 |
18K10263
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
長崎 恵美子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教 (70781558)
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研究分担者 |
伊東 美佐江 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00335754)
小野 聡子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (20610702)
森山 美香 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (50581378)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 意思決定コーチング / 心疾患 / 高齢者 / DNAR選択 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、わが国における心疾患をもつ高齢者のDNAR選択の意思決定支援介入プログラムの開発である。 平成30年度は、看護師の心疾患をもつ高齢者に対するDNARの意思決定支援の現状や困難の実態を調査するため、まずは国内の文献検討から着手した。医中誌を用いて、「心疾患」「高齢者」「意思決定」をキーワードとして検索を行った。重複した文献を除き、入手可能で、心疾患をもつ高齢者の意思決定支援に関する記述のある文献について検討した。国内の文献から心疾患は、寛解と増悪を繰り返すために予後予測の判断が困難を極める、そのことから患者や家族への意向確認のタイミングを逃すということが圧倒多数を占めていた。また、患者や家族の関係性や共通理解を図るための看護師のコミュニケーションスキルや病状の説明といった高い知識が求められること、緩和ケアなど専門チームでの連携が必要であることが挙げられた。非がん患者への緩和ケア保険算定も課題であった。海外文献については、PubMedを用い、同様のキーワードで検索を行ったが、十分な文献検出が得られなかったため、キーワードや方法など再検討している。 また、日本エンドオブライフケア学会が主催する研修に参加し、意思決定の基盤となるエンドオブライフケアの背景および概念と意思決定支援方法につながる意思表明プロセスの考え方を学び、意思決定の先駆者であり、研究協力者でもあるDawn Stacey教授を講師に迎え、オタワ大学で開発されたデシジョンガイド・デシジョンエイドを用いて、スキル強化を目的としたロールプレイを参加者で実施し、今後の意思決定コーチングの方法を検討するうえで非常に有用な示唆が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内外の文献検討では、心疾患をもつ高齢者のDNAR選択に特化した文献数が十分に得られず、キーワードや検索方法の再検討が必要になり、予定通りに進めることができなかった。 意思決定の先駆的な実践で知られるOttawa UniversityのLaura Boland先生と連絡調整を行い、意思決定を実践している施設での視察を計画している。 システマティックレビューが十分でないことから、インタビュー内容の吟味が不十分で倫理申請まで到達できなかったため、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
更に国内外の文献検討を進める。 データ収集を依頼する施設を複数で行うことを視野に入れて、各施設での調整を行う予定である。また、北米で先駆的な意思決定支援を実践するOttawa Hospital and Health Research Instituteや許諾の得られた施設での視察を行い、看護師への面接内容を精選させる。その結果を用いて、循環器病棟に勤務する看護師に心疾患をもつ高齢者に対するDNAR意思決定支援の現状と困難感を明らかにすることを目的として、構造的質問項目と非構造的質問項目を用いた面接調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外視察を予定していたが次年度に延期することになった。また、パーソナルコンピューターやプリンターの購入を次年度に繰り越すことになったため。 次年度以降は、パーソナルコンピューターを購入し、文献検討の結果を学会発表するための参加費や旅費での使用、Ottawa Universityや関連施設での視察に関する旅費、意思決定や研究分析に関連する書籍の購入に充てる予定である。
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