研究課題/領域番号 |
18K10264
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研究機関 | 日本赤十字広島看護大学 |
研究代表者 |
村田 由香 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (20389125)
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研究分担者 |
宗内 桂 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 講師 (30734016)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中堅看護師 / リーダーシップ / プログラム開発 |
研究実績の概要 |
本研究の令和元年度の目標は、中堅看護師のリーダーシップ育成プログラムの試案作成と説明会の開催であった。1年目の調査研究により、60部署の看護師長、中堅看護師、スタッフ看護師を対象にマルチレベル分析を行った結果、中堅ジェネラリスト看護師のリーダーシップ(MGNLS)が共有リーダーシップ,専門性を発揮できる職場環境,職務満足度に正の関連を示すことが明らかになった。一方で,部署目標到達度との関連は認められなかった。看護師長のリーダーシップが中堅看護師のリーダーシップに及ぼす直接的効果は認められなかったが,人員配置が良好であるほど中堅看護師のリーダーシップが高いという予想外の関連が明らかになった。看護の質の指標として,どのような職場であっても看護実践の最も基本となる倫理的行動に注目したが,看護の質評価の際には,在院日数,有害事象の発生率,看護ケアに対する患者・家族の満足度などが指標となっている。今後は,倫理的行動だけでなく,有害事象の発生率や患者・家族の満足度などの看護の質指標に対しても中堅看護師のリーダーシップが有効なのかを検討する必要がある。本研究における看護の質に対しては共有リーダーシップを介した間接的な効果を有することが示されたことから,部署目標が看護の質と関連する内容であれば,結果に反映された可能性もあると考えられる。以上の結果から、中堅看護師が組織内で共有リーダーシップを発揮できるポジティブマネジメントの手法を活用した職場づくりとセルフリーダーシップ育成のためのプログラムを作成途中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1年目の調査が西日本豪雨災害のため、遅れて年度末に実施することになった。そのため、結果・分析が本年度になった。本年度は、ポジティブマネジメントの手法を取り入れた、OJTを基盤にしたリーダーシップ育成プログラムの試案を作成し、スーパーバイズを受ける予定であった。また、試案の説明を介入協力施設に説明をし、臨床現場における中堅看護師のリーダーシップに関する課題と学習ニーズの聞き取りをする予定であった。しかしながら、計画の予定より遅れて、2月から対象施設に協力を得てニーズの聞き取りをする予定であったが、COVID-19感染症の拡大により、協力病院への訪問ができず、調査予定を中止した。また、同時にスーパーバイズを受けるための移動もできなかった。県外移動可能となったため、7月から再開する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
7月:リーダーシッププログラムのスーパーバイスを受ける。県内介入協力施設5施設にプログラムに関する意見の聞き取りを行う。また、各施設が運営しているクリニカルラダーやキャリア開発ラダーとの関連も明確にする。8月:介入施設の中堅看護師・看護師長・スタッフ看護師に介入調査と説明とMGNLSに関する質問紙調査を実施する。9月~令和3年2月:各施設と調整しながら、中堅看護師のリーダーシップ育成プログラムを実施する。COVID-19の2次感染拡大により、施設訪問ができなくなる可能性も予測し、リモート(Zoom)による遠隔介入(双方向)が可能になるように、事前に施設の承諾もいただいておく。計画立案当初は、リモートを活用する予定ではなかったが、新たにZoomの利用料が発生する。介入後は、12月、3月と研究対象者に3か月ごとに進捗状況等をリフレクションシートに記入してもらう。3月には、企画に参加した中堅看護師30名程度にフォーカスグループインビュー調査を実施する。インタビュー調査については、感染拡大による施設訪問ができない可能性も鑑みて、Zoomまたは電話インタビューも予定しておく。2回分のリフレクションシートとインタビュー結果を質的に分析し、中堅看護師のどのような行動や思考の変化がどのような効果をもたらし、何がリーダーシップの発揮に影響したのかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
プログラムのスーパーバイズを受けるための旅費、プログラム作成に伴う諸経費、協力施設への交通費を使用できなかったため、次年度使用額が生じた。 これらは、すべて、本年度に計画通り使用する。
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