研究課題/領域番号 |
18K10269
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
森川 浩子 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (10313743)
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研究分担者 |
任 和子 京都大学, 医学研究科, 教授 (40243084)
北田 宗弘 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40434469)
古家 大祐 金沢医科大学, 医学部, 客員教授 (70242980)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者糖尿病 / QOL / 糖尿病ディストレス / アクセプタビリティ / 医療依存度 / 認知症 / 新型コロナウイルス感染症 / EQ-5D-5L |
研究実績の概要 |
【コロナ禍における高齢糖尿病患者のコントロール状況とQOL(生活の質)の変化】 令和元年厚生労働省『国民健康・栄養調査』による糖尿病患者の割合は、70歳以上の男性で26%、女性で19%であり、約4分の1が糖尿病である。さらに前糖尿病患者を加えると約2分の1が耐糖能異常である。高齢糖尿病患者は病歴が長い場合が多く、複数の糖尿病性合併症を持つことから、医療依存度の高い生活を送っている。さらに、新型コロナウイルス感染症による感染防御の必要性から、外出を控える生活が続き、運動不足や過剰な食事摂取から、血糖コントロール不良になり、腎機能低下や高血圧など重篤化の傾向がみられる。高齢糖尿病患者の良好なコントロールを維持するためには、内科的治療と共に、QOL維持や糖尿病による身体的・心理的負担(Diabetes Distress)の低下が求められる。しかしながらストレスからアルコール量が増し、うつや認知機能の低下が引き起こされていると、さまざまな報告がなされている。そこで高齢糖尿病患者のアクセプタビリティ(受容性)にどのような問題が起こっているのか、検証する必要があると考えた。 【高齢糖尿病患者のQOL及び糖尿病負担(Diabetes Distress)の検討】 高齢糖尿病患者が抱える問題を量的にとらえるために、QOLに関して海外で開発され改良を重ね有効性が示され、かつクライエントが答えやすいEQ-5D-5L を調査方法に取り入れる。さらに、糖尿病負担を評価するDDS-17を選定した。これらは研究に用いる場合は経費が必要ではなく、かつ著作権に抵触することはないと明記されている。EQ-5D-5L は、QOL(移動・身の回りの管理・普段の生活)に関する項目ととともに、疼痛や不安など、心理的な評価項目も加わり、糖尿病患者の抱える問題を感度良く把握することが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍が続いている状況において、高齢糖尿病患者は、血糖コントロールの悪化・病状についての不安や心配を抱えておられることが考えられる。また、血糖コントロール指標(HbA1c)や腎機能(GFR や尿蛋白)、血圧などの臨床指標を研究に用いることの了解も必要である。これらの調査は、研究分担者の勤務する医療機関で実施し、患者の協力を得るように準備を行う。また、研究代表者が勤務する施設の『人を対象にする研究の倫理審査』を通過し、被験者(高齢糖尿病患者)の方が目的や意義を理解していただくように、わかりやすい説明書を用意し、研究分担者が丁寧に説明する。
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今後の研究の推進方策 |
高齢糖尿病患者が外来通院・入院治療をされている施設で、調査を行う。調査対象数は、60歳代・70歳代・80歳代、90歳代以上として、男性と女性の比率はできたら同数とする。被験者は200名を予定する。調査期間は、研究代表者の勤務する施設での倫理審査を経て、令和4年8~9月に実施する。調査内容の分析は、被験者の年齢・性別・糖尿病コントロール状況・合併症進行状態に分類後、EQ-5D-5LとDDS-17を組合わせて内容分析を行う。研究結果が得られたのち、研究代表者・分担者が討議し、考察を行う。 高齢糖尿病患者の身体面とQOL・Diabetes Distress Scale-17を合わせた研究は、非 常に幅広い研究内容であり、海外の学術雑誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度の研究は、コロナ禍による多忙により、研究が順調に進まなかったため、補助事業期間延長承認申請を2022年3月15日に行い、学振承認済みである。それに従い、2021年使用予定であった104万4682円が、次年度使用金額となっている。
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