研究課題/領域番号 |
18K10270
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹之内 沙弥香 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (00520016)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アドバンス・ケア・プランニング / 看護倫理 / エンド・オブ・ライフ・ケア / 意思決定支援 / 医療倫理 |
研究実績の概要 |
将来の意思決定能力の低下に備えて、医療専門職が患者やそのご家族と、医療やケア全体の目標や、価値観、具体的な治療・療養の希望について話し合う過程は、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)と呼ばれる。本研究では、進行がん患者を対象に、日本の文化的背景を配慮した「日本型ACP看護支援モデル」を用いたACP支援を評価する。 今年度は、評価のための尺度として、ACP engagement scale (Sudore, 2017)を翻訳し、ACP engagement scale日本語版の信頼性及び妥当性の検討を行った。本尺度の翻訳にあたっては、尺度原著者であるSudore氏に許可を得た。尺度翻訳においては、まず日本語を母国語とし、英語に堪能な翻訳者2名が独立して順翻訳を行った。次に、この翻訳案について、ACPに関する専門的知識を有する研究協力者により、翻訳の明確さ、一般的な言葉の使用、概念の等価性について検討した。その後、英語を母国語とし日本語に堪能な翻訳者2名が独立して逆翻訳を行い、逆翻訳を原著者に報告し、日本語版案について了承を得た。このようにな翻訳のプロセスを経た本尺度の日本語版案の妥当性・信頼性について統計学的に検証した。現在日本において多数のACP支援に関連する研究が実施されているが、その支援を評価する有用な尺度の一つとして、本尺度の信頼性および妥当性が検証されたことは意義深い。 同時に、進行がん患者のACP支援に携わる看護師を対象に、「日本型ACP看護支援モデル」を教育し、研究対象者への介入の質を担保する方策について、研究協力者と検討を重ねた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究者、研究協力者とともに研究計画について検討を重たことにより、円滑な実施について協力を得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の計画通り、「日本型ACP看護支援モデル」の有効性について、量的・質的研究における分析結果を混合研究法を用いて多角的に検討することで、看護師が本モデルに基づいたACPを支援することにより、患者の人生の最終段階における医療に関する決定プロセスが円滑に進展し、Quality of Life(QOL)の維持・向上に寄与するか評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、共同研究者の体調不良等の事由にて、予定していた一部の予算執行が行われず、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせて、本年度得られた成果報告、論文執筆、量的介入研究および質的調査の資金として使用する。
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