研究実績の概要 |
精神障害をもつ人の親亡き後のことに関する精神科訪問看護師の認識と支援に関する実態を把握する目的で質問紙調査を実施した。1,038部を配布し、300部の回答を得、うち有効回答は274部であった。親亡き後のことについて話をされる頻度は、「良くされる」~「たまにされる」が7割を超え、利用者/家族から親亡き後のことについて話をされる頻度は、精神科訪問看護勤務年数と弱い正の相関が認められた(r>0.2, p<0.01)。 利用者への支援の実施割合が5割に満たなかったのは「親亡き後の通院方法を確認する」「親亡き後の生活に関する本人の意思を家族に代弁する」、家族への支援で実施割合が5割に満たなかったのは「同居家族以外の家族との連絡調整を行う」「親亡き後の生活に関する家族の意思を本人に代弁する」であった。支援の実施頻度18項目中11項目で精神科訪問看護勤務年数と弱い正の相関が認められた(r=0.216~0.309, p<0.01)。 親亡き後のことについての訪問看護師の認識は12項目4因子構造(クロンバックα=0.559~0.801)【①家族亡き後に向けた支援の困難感】【②家族亡き後に向けた支援の学習ニーズ】【③家族亡き後の利用者の治療中断の危惧】【④家族亡き後の生活維持についての期待感】となった。【④家族亡き後の生活維持についての期待感】と訪問看護勤務年数および精神科訪問看護勤務年数の間には弱い正の相関があった(r=0.239, 0.222,p<0.01)。 また、精神障害者の視点から「親亡き後の問題」に関する不安や必要とする支援について明らかにすることを目的として、ピアサポート活動を行っている精神障害者11名を対象として、「親亡き後の問題」に関するインタビューを行った。インタビューの内容は、現在逐語録を作成し、質的帰納的に分析をしているところである。
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