研究課題/領域番号 |
18K10283
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
西岡 裕子 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (10405227)
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研究分担者 |
深田 順子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (60238441)
鎌倉 やよい 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, その他 (00177560)
渡邉 直美 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (40736782)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 頭頸部がん / 頸部郭清術 / 機能障害 / リハビリテーション / 組織硬度 |
研究実績の概要 |
目的:本研究の目的は、頸部郭清術後の肩関節周囲の運動障害に対するリハビリテーションに加え、頸部周囲組織の「硬さ」の改善や摂食嚥下障害へも対応した包括的なリハビリテーションを実施するための看護プログラムを開発することである。 2019年度は、看護プログラムに導入予定である頸部可動域エクササイズの即時効果と4週間継続後の効果を確認した。 方法:女子学生15名(平均21.5歳)、男子学生12名(平均20.9歳)に対し、頸部可動域改善に効果のあるエクササイズを3種類(回旋、側屈、屈曲/伸展)各1セット10回を4週間1日2セット実施するよう依頼した。エクササイズ実施前と実施直後、4週間継続後に、僧帽筋及び胸鎖乳突筋の硬度(MyotonPRO組織硬度計)各3回、頸部可動域(角度計)各2回、反復唾液嚥下テスト(健口くん)各2回測定し、その平均値を分析に用いた。頸部・肩の自覚症状(頸部郭清術後質問表簡易版)の合計点を算出し、疼痛(Visual Analog Scale:VAS)も測定した。各測定項目について実施前と実施直後及び4週間後のデータを対応のある検定を用いて比較し、有意水準は5%とした。 結果:実施前と実施直後の比較では、伸展と左右回旋の頸部可動域が有意に増加し、反復唾液嚥下テストと自覚症状も有意に改善した。僧帽筋及び胸鎖乳突筋の硬度、疼痛に有意差はなかった。実施前と4週間後の比較では、右僧帽筋の硬度が有意に減少し、全ての可動域が有意に増加した。反復唾液嚥下テストと右肩痛が有意に改善したが、自覚症状に有意差はなかった。 考察:頸部可動域エクササイズは、可動域改善の他、嚥下機能改善にも効果がある可能性が示唆された。また、4週間の継続による僧帽筋の硬度減少、疼痛の軽減に効果がある可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、2018年度に検討した頸部可動域エクササイズの効果の検証を若齢者及び高齢者に対して行う予定であった。まず、若齢者でのデータ収集を2019年9月~10月の間で実施し、その結果をふまえて高齢者でのデータ収集までを行う予定であったが、高齢者のデータ収集に至らなかった。 その理由としては、男子学生の研究参加者が予定人数に達しなかったため、若齢者のデータ収集期間を12月まで延長したことや、1月から3月は収集した若齢者のデータ分析とまとめに費やしたことが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、健常な高齢者に対する頸部周囲組織の「硬さ」と頸部可動域、喉頭運動などの嚥下機能、疼痛や不快感などの自覚症状の確認を行い、若齢者との結果の比較から加齢による影響等を明らかにする予定である。また、若齢者の実施状況をふまえて改善したエクササイズの実施を高齢者に依頼し、その効果を検証する予定である。 現在、若齢者のエクササイズの実施状況及びデータ収集の結果をふまえて、エクササイズの改善点を検討中であり、所属施設の研究倫理審査委員会に申請するための書類を作成する予定である。 現在、新型コロナウイルス感染予防対策により、研究参加者を集めてのデータ収集は難しいと考えられるため、収束の目途が立ち次第、研究倫理審査委員会への必要書類の提出及びデータ収集場所の確保を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
高齢者に対するデータ収集を実施しなかったため残額が発生した。 今年度の助成金は、物品費(統計解析ソフトIBM SPSS26、データ収集に必要な消耗品)、謝金(被験者への謝金)、旅費(データ収集時の交通費、第40回日本看護科学学会学術集会、第35回日本がん看護学会学術集会、第44回日本嚥下医学会総会ならびに学術講演会)に使用する。
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