研究課題/領域番号 |
18K10285
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
川田 美和 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (70364049)
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研究分担者 |
野嶋 佐由美 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00172792)
坂下 玲子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (40221999)
岡田 俊 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (80335249)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自閉症 / 対話 / ダイアローグ / 家族支援 / 未来語り / アンティシペーションダイアローグ / オープンダイアローグ |
研究実績の概要 |
未来語りのダイアローグは、心理的あるいは生活上の問題を抱える当事者、家族、多職種の支援者間で連携がうまくいかない、支援が行き詰まっている等、何らかの困難が生じた場合の問題解決のための対話技法である。 具体的には、ファシリテーターが参加者に①未来(概ね半年~1年後)の希望的な状況(例:就労して周囲との関係が良好など)について質問する、②それが実現したと想定しその時点に立ってもらう、③実現のために自分がしたことや役立ったことを想定し語ってもらう、④未来からみた現在の心配事について語ってもらう、という流れで進行する。希望的な予測を立てることで、現在直面している問題への不安を軽減し、最終的には、各参加者がより良い今後のためにすべきことを具体的にしていくという手法で、北欧ではすでに多くの実践例があり、効果も認められている。 日本の実践者や研究者も注目しはじめ、導入への期待が高まっているが日本で実証的研究は未だされていない。筆者らは、これまでの支援経験から、 1)成人期の高機能自閉症スペクトラム障害者(以下、ASD者と示す)支援において未来語りは有効であると考えたこと、2)ASD者支援において、当事者・家族・支援者間の連携は特に重要であること、また、3)未来語りは今後の看護学にも貢献できると考えており、本研究に着手することとした。 本研究では、実際に、ASD当事者とその家族、支援者の話し合いを未来語りの形式で実施することを通して、効果検証を行うこととを目的としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、倫理委員会の承認を得て、実践をすすめているところである。現在、1ケースへの実践(協力者10名)、その後のインタビューを終了したところである。さらにもう1ケースへの実践予定がすでに決定している段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
今後、可能なら、もう1ケースの協力を募り、実践とデータ収集をすすめていく予定である。データ収集を終えた後、得られた対話の映像をもとに、以下について分析をすすめていく。 1.未来語りでは、どのような対話のプロセスが展開されるのか 2.未来語りに参加したASD当事者、家族、支援者は、どのような体験をするのか 3.未来語りを実施した後、ASD当事者、家族、支援者には、どのような変化が生じるのか 4.日本でASD者支援として実施する場合、未来語りの効果的な展開のためにどのような工夫が必要か
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次年度使用額が生じた理由 |
物品が予定よりも安く購入できたため、ごく少額の差額が生じたが、次年度の物品購入費として使用予定である。
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